そもそも危機的状況に陥っては
例えば5年後、誰かに聞かされても信じられない気がするので、念のためここに記しておこう。
東京オリンピックはやるけどワクチン接種は予定通り進まず予定数が確保できなかったことに対する国からのアナウンスすら2か月放置され接種の予約が急に取り消されている。病床はもうずっといっぱいで自宅療養の人は急変して亡くなっているし普段なら助かる急性アルコール中毒で搬送された人は受け入れ先が無くて亡くなってしまった。電車の中吊り広告は在宅勤務を推奨しながらオリンピック向けの列車増発をアナウンスしているねじれを平然と内包しているし、国が急に酒類販売事業者に対し「酒を提供している飲食店と取引を行うな」と要請したかと思えば金融機関からも取引情報を基に働きかけるよう調整しているが保証は相変わらず十分に出ていないのでたくさんのお店が潰れていく。近所のおいしいピッツェリアはもうなくなってしまった。
思っていた以上の理不尽が毎日起きていて、大局のために個人がすりつぶされるような倫理観の狂った空気が解消される気配はまったくなく、この組織はそもそも危機的状況に陥ってはいけなかったのだなと思った。合理的判断を出来る組織を目指すには手放すべき点が多すぎるし、手放すべきことが蓄積され過ぎていて、何も手放せなくなっている。個人としては「おかしい」と言っていくしかないが、その声がどこにも届かないような無力さを覚え、自分という存在が随分とすり減ってしまったような気がする。組織の中では自分のもとに判断できる立場がやってきたときによい選択ができるように冷静でいなくてはいけないが、その時までちゃんと理性を失わずに居続けられるのかは、自信がなくなっている。ちゃんと食べて、ちゃんと寝ること。