金沢への旅路 さらば祖母よ② 4 Oheavenus 2025年2月7日 00:59 パラパラと雪が舞う朝、祖母を見送った。 火葬の間、晴れ間が差し、雪に染まった景色はより神秘的で幻想的な雰囲気になった。数は少ないものの、集まった親族は一様に、その景色に目を奪われた。祖母が巡り合わせてくれた場所とタイミングだった。 こんな規模の雪を初めて見る子供達は、雪に指で穴を掘ったり、唐突に飛び出して雪に埋まったりしていた。この体験もまた、祖母がもたらしてくれたものだ。 幼い頃、祖母の唱える『般若心経』や『南無阿弥陀仏』が好きだった。退屈ではあったものの、その声が聞こえてくると、後ろで正座をして聴いたものだった。そんな祖母が、今は御経をあげられている。当たり前のことではあるが、何だか不思議な違和感があった。そんな葬儀の全行程が終了し、家族で回転寿司を食べた。曲がりなりにも金沢の寿司である。漁師町で育った妻のテンションも、珍しく上がっていた。 服を見たり土産を買っていたら、外は吹雪に近い状態だった。踏ん張っていないと吹き飛ばされてしまいそうな風と、それに乗じて叩き付ける雪が吹き荒ぶ中、我々は夕食の会場(居酒屋)を目指した。妻も子供達もキャーキャー言いながら、楽しそうな様子だった。 曲がりなりにも、おでんも食べた。 ラーメンも食べた。葬式の雰囲気にメンタルを擦り減らし、吹雪に抗い体力も使い切った子供達は、気絶するようにベッドに倒れた。みんなお疲れ様。ばあちゃんも、お疲れ様。ゆっくり休んで。 いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #エッセイ #毎日note #写真 #骨折日記 4