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願いを込めろ!短冊に!!
今日は短冊の提出期限だった。大人になってから短冊に願いを書く機会などそうそうない。しかし、子供がいると話は別だ。この時期になると毎年必ず、短冊の提出を求められる。そしてその短冊は、必ず私が担当することになるのだ。
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クリスマスプレゼントもそうなのだが、こういった類のものは、どうしても直前にならないと取り掛かれない。それは私が先延ばし気質の怠け者ということだけではなく、気まぐれなクライアント(子供達)のオーダーを最後の最後まで何度も確認する必要があるからだ。
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子供達の就寝前、希望を聞きながら案を描いて見せ、その中から気に入ったものを選んでもらう。もうこれ以上修正はききませんよ、仕様変更は無理ですよ、というギリギリの状態でないと、クライアントには満足してもらえないのだ。子供達が寝てから、本格的な作業開始となり、完了するのは深夜になってしまう。
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子供達の短冊に加え、大人の短冊も提出しなくてはならない。つまり子供達は白紙の短冊を2枚ずつ持ち帰ることになり、我が家には4枚の短冊が存在することになる。うち1枚は妻に担当してもらうとして、私は3枚の短冊を仕上げなくてはならない。
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最初に取り掛かったのは子供達の短冊で、これは比較的すぐに完成した。打ち合わせを重ね、完成形が見えていたからだ。
それに引き換え、大人の短冊(何だか夜の気配がする)はその取っ掛かりさえ掴めずにいた。が、ここで片づけを始めてしまうと恐らく完成しない。取り敢えず浮かんだ言葉をスケッチブックに書いてみる。
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親として願うことはただひとつ。我が子が元気でいることだ。多少の病気や怪我をしていても、元気でさえいてくれればひとまずそれで良い。「元気に特殊詐欺してます」なんて言われたら穏やかではないが、それはもっと先の話だ。
そんな風に考えながら短冊へと願いを込めたが、いざ完成してみると何かダサい。うすうす気付いてはいたものの、今更やり直しがきくわけでもないので目を閉じた。
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朝になると妻が書いた短冊も添えられていた。それを見た私に「短冊ってこういうので良いのか!」と電流が走る。そう、結局のところ私は迷走していただけなのだ。
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そうして完成した短冊へ、上の子は自分で願い事を書いた。本人の要望だったとはいえ、字を書くスペースは決して広くない。そんな猫の額のようなスペースに、真面目な顔で、力いっぱいペンを握り締め、鼻をすすりながらしっかりと願いを刻み込んでいた。
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よくよく見るとドラえもんの目は死んでいるし、体は妙にスリムだ。ミッフィーの服はヘンな柄だしボタンの輪郭も引き忘れている。自分でやっておきながら大変不満の残る結果となってしまったが、子供達は大喜びだった。
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お父さんとしては、これが園内で掲出されることに恥ずかしさと恐怖でいっぱいだ。だが、保育園では先生やおともだちから大層注目を集めたそうだ。そんな様子を嬉しそうに、そして誇らしげに語る我が子を見れば、「まぁいいか」と思えなくもない。
まぁいい…かなぁ…?