グリーの決算内容を3分で解説!
今回はグリーの決算内容について見ていきましょう。
今年で創業20周年を迎えるこの会社、ゲーム事業から始まり今ではメタバース事業・VTuber事業など手広く事業展開を進めています。
その決算内容はいかがでしょうか?
1.PLの状況
まず最初はPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比△19%の613.1億円の減収となりました。
営業利益は前年比△52%の59.8億円、当期純利益は△50%の46.3億円と利益面ではほぼ半減と厳しい結果となりました。
またEBITDAベース(営業損益+減価償却費+のれん償却額)で見ても△51%と半減しています。
今回の大幅減益の一番の要因は「投資事業の落ち込みによる影響」です。
前年比で見ると投資事業の売上高は△60億円減少、セグメント利益は△59億円減少しています。
特に利益面では投資事業の減益が大きく響いています。
では各セグメント別に内容を見ていきましょう。
セグメントとしては4つあり、祖業のゲーム・アニメ事業が売上高・利益ともに主力となっています。
事業規模としてはメタバース事業が続きますが、今回通期のセグメント利益で黒字化を達成しました。
◇ゲーム・アニメ事業
売上高は前年比△24%、営業利益は△31%と減収減益となりました。
「ヘブンバーンズレッド」の 2周年イベントなど大型施策の反動で売上・利益ともに大きく落ち込みました。
ただ現状の足元では、既存スマートフォンゲームの長期運営体制による収益安定化及び海外展開による収益力向上に取り組むとともに、新規タイトルの開発を進めており、2025年以降に順次リリースする予定です。
2025年の業績予想では保守的に見ていることもあり、前年比で売上高△3%、営業利益△45%となっています。
新規タイトルに関する開発費用などコストが増加していることもあり、特に利益面では大幅に減少する見通しです。
◇メタバース事業
売上高は前年比+4%、営業利益は前年までの赤字から今回黒字化達成となり大きく業績を伸ばしました。
メタバース事業の中でも事業が2つに分かれていて、その一つの事業のプラットフォーム事業においては、スマートフォン向けメタバース「REALITY」のコンテンツ拡充及び機能拡充を進めるとともに、グローバル展開を進めてきました。
また、費用効率化による収益構造の改善にも取り組んだ結果、プラットフォーム事業は通期黒字化を達成しました。
もう一つの事業のVTuber事業においては、積極的な投資を継続しながら売上高を伸ばしてきており、前年比では+190%と大きな成長を見せています。
利益面に関してはまだまだ成長時期ということもあり、黒字化には至らず赤字継続中となっています。
2025年度の業績予想に関しては、前年比で売上高+26%、営業利益+128%と堅調に推移していくことが予想されます。
好調のプラットフォーム事業で稼いだ利益を成長過程のVTuber事業への投資に回し、更なる成長を図っていく予定です。
◇投資事業
売上高は前年比△80%、営業利益は△96%と大幅な減収減益となりました。
事業の性質上、どうしても業績のアップダウンが激しくなってしまいますが、今回はかなり大幅に業績が下がりました。
その中でもファンド管理運営事業はコツコツと管理報酬売上を積み上げて利益を出しています。
このファンド管理運営事業の厚みを増すことができれば、業績全体の安定感が増してくるかもしれません。
2025年度の方針としては、これまで投資してきたインターネット・IT領域に投資する国内外の主要VC ファンドおよびスタートアップへ投資を継続していく考えです。
また現在保有している投資案件の回収時期にこれから差し掛かってくるため、投資の出口戦略が今後重要な局面になってきそうです。
2.BSの状況
次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から+40億円増加しました。
流動資産は+49億円増加しましたが、そのうち現預金では△5億円減少しました。この点に関してはあとのCFの状況で見ていきます。
それ以外では営業投資有価証券で+25億円、金銭の信託で+35億円の増加と投資事業関連での増加が目立ちました。
固定資産に関しては△9億円減少しましたが、そのうち投資有価証券で△10億円の減少がありました。
負債に関しては+10億円増加しましたが、そのうち社債で+10億円の増加がありました。これは社債の償還に伴い+10億円の社債増額して発行したことによるものです。
純資産に関しては+30億円増加しましたが、これは剰余金の配当で△18億円、当期純利益で+46億円が主な内容となります。
では安全性の指標に関しても見ておきましょう。
流動比率(流動資産÷流動負債)は748%と目安の200%を大きく上回っており問題ありません。
固定比率(固定資産÷自己資本)は17%と目安の100%を大きく下回っており、こちらも問題ありません。
やはりビジネスモデルとして流動性の高い資産の割合が高いため、身軽な財務状況であることが見て取れます。
3.CFの状況
最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から+29億円増加しました。
内訳としては営業CFで+35億円、投資CFで△0.2億円、財務CFで△9億円という内容です。
営業CFは税引前利益で+71億円としっかり稼げており問題ありません。
また売上債権で長期未回収になっているような案件もなさそうです。
投資CFに関しては、有形固定資産や投資有価証券の取得がありましが、金額的には大物の案件はありませんでした。
財務CFに関しては、50億円の社債の償還期限を迎えましたが、代わりに新規で60億円の社債を発行したことでCFには+10億円のプラスの影響となりました。
今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?
マサキタカオ