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パソナグループの決算内容を3分で解説!

今回はパソナグループの決算内容について見ていきましょう。
淡路島への本社機能の一部移転で一時期話題になったこの会社、その後の業績はどうなっているのでしょうか?


1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比△4.3%の3,567億円と減収となりました。
営業利益は△52.7%の67億円、当期純利益は+1,472.1%の958億円と営業利益ベースでは大幅減益、一方で関係会社株式の売却益が1,120億円計上された影響で、当期純利益では大幅な増益となりました。

出所:決算説明資料

営業利益に関しては、新型コロナに係る特需が減少したことにより、売上高・売上総利益が減少したことが大きく影響しています。
また成長分野での人員強化や先行投資等で人件費が増加ことも減益に影響しています。

出所:決算説明資料

営業外・特別損益に関しては、今回特別損益の特別利益の項目で大きな動きがありました。
これは連結子会社であった「ベネフィット・ワン」の株式を売却したことによる利益で、1,120億円と多額な利益が計上されました。
これにより、営業利益〜経常利益までは大幅な減益でしたが、当期純利益ベースで見ると一転して大幅増益という結果となりました。

出所:決算説明資料

それでは各セグメント別に内容を見ていきましょう。
セグメントとしては3つ「HRソリューション」「ライフソリューション」「地方創生ソリューション」があります。

◇HRソリューション
売上高は前年比△4.1%の3,491億円、営業利益は△21.1%の234億円と減収減益となりました。
この事業は更にいくつかの事業に分かれていますが、その中もで主要な事業に関して見ていきましょう。

一つ目はエキスパートサービスですが、この事業ではオフィスワークを中心に事務職から高度な専門スキルを備えた人材やエンジニア、営業・販売職、
また若年層からシニアまで幅広い世代、職種のエキスパートサービス(人材派遣)を展開しています。
全国で対応した新型コロナウイルス感染症に係る業務が概ね終了したことにより、稼働者数は年間を通じて減少が続きました。
一方で、派遣料金の料金改定により派遣単価は上昇し、派遣スタッフへの 処遇改善も進めました。
しかしながら特需のマイナスは埋めきれず、結果として減収となりました。

出所:決算説明資料

二つ目はBPOサービスです。
この事業では、顧客から煩雑な事務作業を集約し効率化する総務・庶務や繁閑に応じた経費精算等に対応する経理・財務をはじめ、受付、営業事務・受発注、人事・労務・給与計算などの業務を受託しBPOサービ スを提供しています。
当期は、前期までの特需案件が減少したものの、民間企業及びパブリックセクターともに新たな需要を獲得しました。
民間企業からは、人事や経理、総務領域でコア業務への集中化支援や、生産性向上に向けたRPA導入・運用支 援が増加したほか、新型コロナウイルス感染症の収束に伴って企業の海外展開が活発化したことから海外人事支援 などのニーズも拡大しました。パブリックセクターからは、リスキリングや行政事務代行の受託が広がりました。 また戦略的に取り組んでいる「X-TECH BPO」においては、民間、パブリック共にDX人材育成に向けた内製化支援や、 従業員のオンライン健康増進支援なども拡大しました。
これらの結果、新型コロナウイルス感染症に関する特需減収を吸収し、+0.4%とわずかではありますが増収となりました。

出所:決算説明資料

◇ライフソリューション
売上高は前年比△5%の77億円、営業利益は△64.8%の1億円と減収減益となりました。
この事業では、認可・認証保育所、企業内保育施設、学童保育施設の運営、児童教育などの子育て支援事業、デ イサービス、訪問介護などを行う介護事業、家事代行などのライフサポート事業を行っています。
保育事業では、認可保育園や学童クラブの新規開設をはじめ、既存保育施設の受入れ児童数も前期からは増加したものの、新規開設の費用先行や人件費などの運営費等の増加により売上総利益は減少しました。
ライフサポート事業では、前期まで新型コロナウイルス感染症の拡大対策として病院や宿泊施設から受託していた除菌消毒サービスが減少したほか、感染者療養施設への介護人材の派遣需要が減少しました。
また、子育て家庭 を対象にした家事代行サービスなどの自治体からの受託事業が順調に拡大したものの、複数地域に分散したため人 件費を中心に販管費が増加しました。

出所:決算説明資料

◇2025年5月期 業績予想
それでは次年度の業績予想に関しても概要を見ておきましょう。
売上高は前年比△7.5%の3,300億円、営業利益は△26.4%の50億円と2年連続の減収減益の見通しとなりました。

2025年4月から大阪・関西万博が開催されることから、関西圏を中心にインバウンドを含む観光客が増加すると想定していますが、この万博への出展に伴うパビリオン関連費用や運営費用が一部発生することから減益となる見通しです。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から+256億円増加しました。

出所:決算説明資料

流動資産は+494億円増加しましたが、そのうち現預金で+692億円の増加が見られました。この点に関してはあとのCFの状況で見ていきます。
それ以外では、売上高の減少に伴って受取手形・売掛金・契約資産などで△92億円の減少が見られました。

固定資産に関しては△238億円減少しましたが、このうちのれんやソフトウエアなどの無形固定資産で△216円の減少がありました。
これは先程のPLの状況でも触れたこ会社株式売却により、連結子会社から1社外れたことによる影響と考えられます。

出所:決算短信

負債に関しては△575億円減少しましたが、このうち受託案件に係る一時的な預り金で△199億円の減少がありました。
これも連結子会社が1社外れたことによる影響と考えられます。
それ以外では短期・長期借入金で返済が進んだことにより△151億円減少しています。

純資産に関しては+830億円増加していますが、主な増加要因は当期純利益+958億円となります。
剰余金の配当はありますが、△13億円とあまり大きなインパクトではありません。
またここでも連結子会社が1社外れた影響で、非支配株主持分が△115億円減少しており大きなインパクトがありました。

こうして見ると、BS上では連結子会社が1社外れたことの影響を大きく受けていることが分かります。

3.CFの状況

次はCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から+891億円増加しました。
内訳としては営業CFで+74億円、投資CFで+943億円、財務CFで△129億円という内容です。

出所:決算説明資料

営業CFは税引前利益で1,000億円超と多額の利益が計上されていましたが、これは先程から何度も登場している連結子会社株式会社の売却によるものです。
ただこの売却利益は投資CFに分類されるため、営業CF上では一旦マイナスされます。

投資CFに関しては、有形・無形固定資産への投資で△201億円の支出がありましたが、連結子会社株式会社の売却により+1,152億円の収入があったため、プラスとなっています。

財務CFに関しては、長期借入金の返済が進んだことによりマイナスとなっています。

良くも悪くもPL〜CFまで「連結子会社株式会社の売却」による影響を大きく受ける結果となりました。

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?

マサキタカオ

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