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ユーグレナの決算内容を3分で解説!

今回はユーグレナの決算内容について見ていきましょう。
ミドリムシに関する研究から事業を始めたこの会社、上場から10年を経て今ではサステナビリティ企業へ転換を図っています。その決算内容は?

今回はPLに関連した収益面やビジネスモデルの内容についてのみ見ていこうと思います。

まず売上高は前年比+45%の443億円となりました。利益に関しては赤字なので営業損失となりますが、前年より赤字幅を31億円削減して△34億円の営業損失となりました。
またユーグレナはCF重視の経営を行っているため「調整後EBITDA」を開示しています。
調整後EBITDAで見ると前年比+76%の26億円となりました。
営業利益ベースで見ると前年より改善したとはいえまだ黒字化に到達はできていませんが、調整後EBITDAでは前年比で大幅に増加しています。

出所:決算説明資料

あと補足ですが、「棚卸資産ステップアップ」と言って連結子会社化した際に発生した子会社棚卸資産の含み益を費用化する会計処理があります。
今回の決算ではその費用化処理で18億円を売上原価として費用処理しました。この費用化処理は今回の決算で完了したので、今後は発生しません。
この費用化処理はキャッシュアウトを伴うものではありませんので、調整後EBITDAやCF上ではプラス要素として計算されます。

出所:決算短信

では話を戻しましょう。
ユーグレナが上場してから10年が経ちましたが、この10年間で売上高は28倍、調整後EBITDAは8倍に事業を拡大することができました。

出所:決算説明資料

この大きな飛躍の裏には経営方針の転換がありました。
元々はミドリムシの研究から事業が始まりましたので「ミドリムシ企業」として事業を続けていました。
ただ事業を継続していく中で関係する企業も増えていき、いつしか「サステナビリティ企業」へと転換していくことになりました。

出所:決算説明資料

それではセグメント別に内容を見ていきましょう。
セグメントとしては3つ「ヘルスケア事業」「バイオ燃料事業」「その他事業」があります。
規模感としてはヘルスケア事業が売上高全体の94%と大部分を占めています。バイオ燃料事業はまだ売上高はわずかですが、今後の成長分野として期待される事業です。

出所:決算短信

◇ヘルスケア事業
ユーグレナの始まりとなり核となっている事業がこのヘルスケア事業です。
2021年にキューサイを子会社化したことで売上高が大きく伸びることになりました。
キューサイは通信販売を中心とする健康食品/化粧品販売の老舗企業です。
その老舗企業を連結対象とすることでヘルスケア事業の規模は大きく拡大することになりました。
売上高の推移を見てみると、キューサイの子会社化後の売上高は2倍超になりました。

出所:決算説明資料

このようにキューサイが加わったことでヘルスケアの事業規模は拡大しましたが、今後中期的な目標にはもう少し拡大が必要となります。
2022年の売上高が416億円でしたが、中期目標の売上高としては500億円を掲げています。
また利益面での目標としては調整後EBITDAマージンを指標としており、2022年の10%から10%台半ばまで引き上げることを中期目標としています。

出所:決算説明資料

この目標へ到達するための施策として4つの施策をあげています。
①成長ブランドの創出 ②顧客ロイヤルティの向上 
③チャンネル販売力の強化 ④コストシナジーの創出

・成長ブランドの創出
ブランドの領域は3つ「サステナビリティ」「ウェルエイジング」「先進的市場創出」があります。
サステナビリティはユーグレナ関連の商品がメインとなります。
またウェルエイジングはキューサイが販売している商品が主力となります。
キューサイの連結化でブランドの幅が一気に広がった様子です。
その中で新たなブランド創出として開発した商品は、やはりサステナビリティからの商品で「NEcCO(ネッコ)」という商品です。

出所:決算説明資料

この商品はユーグレナのコア技術のバイオテクノロジーとフィロソフィーの「Sustainability First」を体現したブランドです。
またこの商品だけにとどまらず、今後も順次ライナンナップを拡充してブランド拡大は図っていく予定です。

◇バイオ燃料事業
まだまだ売上高は少ないですが、今後の成長ポテンシャルは高いと期待できる事業です。
ビジネスモデルとしては①原料調達/生産 ②製造 ③販売 という流れとなります。

出所:決算説明資料

この中でも今後重要性が高いには②の製造です。現在の気候変動対応ニーズの高まり受けて需要は増加を続けています。その需要に応える供給面を確保するために製造体制を整えていく必要があります。
その製造プラントとして神奈川県に実験プラントがあります。
ただそれはあくまで実験プラントなので、今後の需要増加を考えると生産体制としては十分なものではありません。

そこでバイオ燃料の商業化を目指して製造プラントの建設・運用プロジェクトに参画することになりました。
プラントの完成目標は2025年で、他の参画企業はマレーシアのPETRONAS社とイタリアのEni社で3社共同で検討を進めています。

出所:決算説明資料

プロジェクトの規模としては推定10億ドルなので1,000億円超となります。
またユーグレナの目標シェアは30%としており、このシェアが確保できることでバイオ燃料の商業化の目処が立っていくると考えられます。
このシェアの決定は今年2023年中とされているので、今年は非常に重要な年となります。

そのシェアが決定することで今回のプロジェクトに関する必要資金も見てきます。そのため資金調達方法の確保が重要な点となってきます。
この点に関してはすでに動きがあり、パートナー4社に対する「新株発行」と「気候変動解決型転換社債」、いわゆる’グリーンボンド’という社債の発行により資金調達する目処を立てています。
金額としては新株で30億円、社債で48億円の合計78億円となります。

出所:決算説明資料

この金額で十分かどうかは分かりませんが、資金調達手段は新株発行と社債発行の2種類が現実的な手段と考えられます。

今後のユーグレナの成長を支えるのは祖業の「ヘルスケ事業」であり、今後の成長の飛躍のタネとなるのは「バイオ燃料事業」だと思います。

今後の占う意味でも今年の2023年はとても重要な1年になりそうです。

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?

マサキタカオ

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