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タイミーの決算内容を3分で解説!
今回はタイミーの決算内容について見ていきましょう。
昨今の人手不足の状況を受けて、今話題のこの会社、注目度に比例して業績も右肩上がりの様子です。
1.PLの状況
まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+66.5%の268億円と大幅な増収となりました。
営業利益は前年比+117%の42億円、当期純利益は+55.2%の27億円と利益面に関しても大幅な増益となりました。
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売上高と営業利益の推移を見てみると、ここ3年間での業績の伸び方が異常です。
特に2022年10月期は大きな転期で、営業利益で黒字化を達成しました。
その後はご覧の通りですが、売上高・営業利益ともに凄まじい成長を見せています。
この躍進の裏には、昨今の「深刻な人手不足」という時代背景も存在しています。
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各種KPIの推移に関しても見てみましょう。
まずは稼働率とテイクレートについてです。
稼働率はコアワーカー数の増加、蓄積されたワーカーデータに裏打ちされたワーカーマーケティングを背景に、前年比で0.4pt改善しています。
ここ3年間は毎年改善を続けています。
平均テイクレートは、大手企業の新規参入等により競争環境が激化していますが、高い稼働率や働きぶりの良いリピートワーカーの増加、日本全国での営業サポート等の競争優位性を保ち、29.6%と高水準を維持しています。
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稼働率が安定・改善している要因としては、「コアワーカーの拡大」が考えられます。
過去より継続的にコアワーカー割合が上昇してきましたが、新規ワーカーの割合が少なくなっていることや年末繁忙期を踏まえ、新規ワーカーの獲得を目指しワーカーマーケティングに積極的に投資しています。
今後も新規ワーカーとのバランスを取りながら、コアワーカー比率の高水準の維持を目指していく考えです。
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流通総額に関してはここ3年間で4倍超まで伸長し、907億円となりました。また流通総額の伸長を牽引しているAA数に関しても、ここ3年間で5倍超の成長を見せています。
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AA数の成長は、業界の特性上事業所数が多く且つ人手不足が深刻な小売・飲食業界が中心となっています。
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このように見ていくと、「高い平均テイクレート」と「コアワーカーの拡大」が今の好調な業績を支えているのではないかと考えられます。
では次年度の業績予想に関しても概要を見ておきましょう。
ただ業績予想はレンジでの開示となっています。
理由としては、①現時点で発現していない競争環境の更なる悪化、②2024年12月6日リリースのサービス不正利用防止の対応強化にける影響度の更なる悪化を勘案するため、とのことです。
それでは内容ですが、売上高は前年比+28%〜+32.8%の343〜 357億円、営業利益は+41.2%〜+58%の60〜67億円の増収増益の見通しとなりました。
売上・利益ともに二桁増の、依然として高い成長率の予想です。
現状から考えると、しばらくは人手不足の解消は難しいと推測されるので、市場自体は拡大する方向になりそうです。
あとは競合他社との争いになりますが、その点は少し保守的に見てテイクレートの低減を織り込んでいるようです。
それでもこの成長率を見込むことができるので、次年度も楽しみですね。
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2.BSの状況
次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産としては前年末から+87億円増加しました。
流動資産では+85億円増加しましたが、そのうち現預金で+42億円増加しました。この点に関しては後のCFの状況で見ていきます。
それ以外では立替金が+32億円増加しました。
この立替金は、事業者がワーカーに支払う給与をタイミーが一旦立替えることにより発生している内容になります。
もちろんあくまで立替金なので、後で事業者に請求して戻ってくるお金となります。
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固定資産に関しては+2億円と大きな変動はありませんでした。
ビジネスモデルとして大きな投資案件が発生しにくいことも影響しているかと考えます。
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負債に関しては+58億円増加しましたが、短期・長期借入金合計で+32億円の増加がありました。
特に短期借入金で+34億円の増加がありましたが、これは運転資金に関する資金調達、おそらく先程触れた立替金の支払いのためではないかと考えられます。
それ以外では、利益の大幅増に伴い未払法人税・消費税等の税金関連の未払が+14億円増加しました。
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純資産に関しては+28億円増加しましたが、当期純利益の+27億円が主な内容です。まだ株主配当金の実施もないので、純資産が減少する要素はあまりなさそうです。
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3.CFの状況
最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から+42億円増加しました。
内訳としては営業CFで+11億円、投資CFで△2億円、財務CFで+33億円という内容です。
営業CFは税引前利益と減価償却費で合わせて+40億円超としっかりと稼ぐ力を示しています。
また支出で大きな項目は先程のBSの状況でも確認した「立替金」に関するものです。今回の支出は△32億円とCF全体で見ても大きな割合を占める内容となっています。前年の支出も△34億円と同レベルの支出がありました。
今回はこの立替金以上に利益を生み出すことができたので、営業CFはプラスとなりました。
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投資CFに関しては、大きな投資案件もないため△2億円の支出にとどまりました。
財務CFに関しては、運転資金に対する資金調達で+34億円の収入がありました。この運転資金は立替金支払いに対するものかと考えられます。
今年のような利益水準・CFの状況があと数年続けば、株主配当が実施されるタイミングになるのではないかと考えられます。
今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?
マサキタカオ