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プラスアルファ・コンサルティングの決算内容を3分で解説!
今回はプラスアルファ・コンサルティングの決算内容について見ていきましょう。
人事領域のデータ分析をクラウドで提供するこの会社、知名度の高い会社も結構導入しているみたいです。決算内容はどうでしょうか?
1.PLの状況
最初にPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+29.3%の79億円となりました。営業利益は前年比+26.4%の26億円、当期純利益は+25.7%の17億円と増収増益という結果です。
全ての項目で前年比+20%以上という好結果です。
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売上高と経常利益の推移を見てみると、現在主軸となっているHR分野の「タレントパレット事業」へ参入してから一気に業績が伸びてきました。
2016年からの今回の決算までに売上高は4.5倍、経常利益は5.8倍と飛躍的に増加しています。
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ではなぜ飛躍的に業績を伸ばすことができたのか?
事業別に内容を見ていきましょう。
事業としては三つ「タレントパレット事業」「見える化エンジン事業」「カスタマーリングス事業」があります。
規模感としては、タレントパレット事業が売上高・利益ともに約60%を占めています。次に見える化エンジン、カスタマーリングスと続いています。
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◇タレントパレット事業
売上高は前年比+52.9%の47億円、営業利益は+41.5%の21億円と大幅な増収増益となりました。
営業利益率は48.2%から44.6%と△3.6%下がりましたが、それ以上に売上高が増加したことが大きく、営業利益を押し上げる結果となりました。
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顧客数も前年の700件から今回は990件へと大幅に増加しました。
導入企業の傾向としては、社員数1,000名以上の大企業への導入割合が約40%以上を占めています。
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タレントパレットが多くの企業に支持されている理由としては、企業における人事戦略のニーズや環境の変化を素早く捉え、それをサービスに反映できている点にあるのではないかと考えられます。
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最近よく耳にする「ジョブ型雇用」などはその最たるもので、この点に関しは日本版ジョブ型制度を支援する機能とコンサルティングを提供しており、顧客ニーズにしっかりと応えています。
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タレントパレットがカバーしている範囲としては「人事DX」と「タレントマネジメント」になります。
もう少し詳しく言うと、人事評価や労務・勤怠管理などの人事業務の効率化に関する内容とITデータを活用した意思決定の高速化を支援するという内容になります。
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顧客へのコンサルティングを通じて出てきた課題へ対応していき、ここ6年間ほどで3,800件以上の機能を標準搭載してきました。
このような新規機能も追加料金を取ることなく標準搭載している点も顧客に支持を得ているポイントかもしれません。
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タレントパレットが立ち上がってから現在まで約6年程度ですが、順調に成長を続けています。
その背景には、既に立ち上がって約16年以上事業継続をしている他の2事業でのノウハウが十分に生かされています。
これによりタレントパレットが現在の高成長事業になることができたと考えられます。
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また今後の新規事業への取り組みも実施しています。
ターゲットとして考えている分野は「教育支援サービス」や「営業支援サービス」といった内容です。
これまで培ったビッグデータを「見える化」する技術・ノウハウを活用できる領域ではありますので、今後の展開が期待できそうです。
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2023年の業績にはこの新規事業は含まれていませんが、既存事業での業績見通しとしてはなかなかアグレッシブな内容となっています。
売上高は+34%増の106億円、営業利益は+32.1%の34億円となり、ともに30%以上の成長率を見込んでいます。
この業績見通し通りに事業が進んでいくか注目です。
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2.BSの状況
次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から+18億円増加しました。
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流動資産は+11億円増加しましたが、そのうち現預金で+8億円増加しました。この点に関しては後のCFの状況の中で見ていきます。
それ以外では売掛金が+1.9億円増加していますが、これは前年と比較して売上高が増加していることが起因していると考えられます。
固定資産に関しては、関係会社株式で+5.3億円増加しています。
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これは(株)グローアップという会社の株式の一部を取得したことによるものです。取得理由としては、主力事業のタレントパレットとこの会社が提供している「キミスカ」というサービスの相互連携によって事業拡大を図るためです。
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また取得価額は5.2億円で所有割合は35%となっています。
取得時期は2022年4月でした。
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ちなみに今回の決算には直接影響はありませんが、この取得のあと2022年10月に追加取得を決定して100%完全子会社になります。
2023年の決算内容にはこの点が反映されてきます。
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負債の部に関しては流動負債で+2.5億円増加しましたが、特段大きな要因はありません。
借入金や社債などの有利子負債も現時点ではありませんし、固定負債もなくかなりスッキリとした内容です。
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純資産は+15億円増加していますが、これは当期純利益17億円の計上によるものです。
自己資本比率は80%前後と優良な財務体質を維持しています。
また先程も触れたように有利子負債がないことも、この自己資本比率を押し上げる要因となっています。
3.CFの状況
最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては+8億円の増加となりました。内訳としては営業CFで+18億円、投資CFで△7億円、財務CFで△2億円という内容です。
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営業CFは税前利益で+26億円稼いでいますのでその入金分と、法人税支払い△8億円の支出の差額となります。
投資CFはBSの状況でも触れた「関係会社株式取得」の△5.3億円が主な内容となります。
財務CFは株主配当金の支払いで△2億円の支出がありました。
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ここ数年の推移を見ても営業CFでしっかりと稼ぎ、その範囲内で投資CFに資金を回している様なので、CF全体としてもマイナスになっていません。
また有利子負債もないため、現状の財務状況としては全く問題はないと考えられます。
ただ今後はこのままCFを積み上げるだけではなく、M&Aや新規投資へCFを回して事業拡大を図ることが求められるかもしれません。
今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?
マサキタカオ