ZOZOの決算内容を3分で解説!
今回はZOZOの決算内容について見ていきましょう。
だんだんと成熟した企業になりつつあるこの会社、今回も堅調に成長を続けている様子です。
1.PLの状況
最初にPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+7.4%の1,970億円の増収となりました。
営業利益は前年比+6.5%の600億円、当期純利益は+12.2%の443億円と増益となりました。
資源・原材料価格の高騰や円安の進行等による物価上昇が続き、経済の先行きが不透明な状況である一方で、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限の緩和等に伴う外出機会の増加や洋服対する需要の増加により、アパレル業界(特にオフライン)が活気づいた市況となりました。
また残暑が長 期間続いたことや、記録的な暖冬であったこと等、例年にはない気候影響も受けました。
このような状況下、売上・利益ともに堅調に推移した結果となりました。
では内容についてもう少し詳しく見ていきましょう。
まず商品取扱高の推移ですが、ここ6年間で+77%増加して今回は5,743億円となりました。
構成としては「受託販売」が全体の約7割を占めていて、次いで「買取・製造販売」が約1割という内容です。
ECサイトにおいてはこの「商品取扱高」の伸長が重要なポイントとなりますが、現在のファッション小売市場の市場規模が10.8兆円と言われていることから考えると、まだまだポテンシャルは高いと言えます。
このポテンシャルを活かして今後商品取扱高を拡大していくために、大きく5つの方針を立てています。
5つ全てもちろん重要ですが、日本の人口は減少傾向にあり市場規模自体が縮小してくことがある程度明確であることを考えると、⑤テクノロジーの収益化によって海外市場へ打って出る、という方針はとても重要になってくるのではないでしょうか。
今このカテゴリーに対する活動としては、ZOZOSUIT不要で計測できる技術のZOZOFITで事業を展開しています。
徐々に事業活動の成果は見えてきているようですが、まだまだこれからという状況です。
ただこの海外市場で一定の成果が出てくれば、全体の事業規模は大きく飛躍する可能性は高まってきます。
では利益面に関しても見てみましょう。
営業利益は前年比+6.5%と大きくは伸びていませんが、ここ6年間の推移を見てみても、毎年着実に増加しています。
また注目すべきのその利益率です。
上記のスライドで記載されている営業利益率は、売上高ではなく商品取扱高に対してのものですが、それでもここ4年間は10%以上で推移しています。
売上高に対する営業利益率で見ると、ここ4年間は30%程度で推移しており、かなりの高利益率体質と言って良い状況です。
ではなぜ高利益率体質を維持できているのか?という点に対しての回答は、「テイクレートの高さ」にあります。
*テイクレート:売上高÷取扱高
日本のEコマースビジネスの平均的なテイクレートは7-8%程度と言われています。
一方でZOZOのテイクレートは、ここ6年間の推移で見ると常に30%以上を維持しています。異常に高いです。
しかしこの「異常に高いテイクレート」のお陰でZOZOは高利益率体質を維持していることになります。
今回の決算の営業利益増加要因を見ても、商品取扱高の増加による影響で、他のコストアップ要因を全て吸収した形となっており、その影響の大きさが見て取れます。
では2025年3月期の業績予想に関して概要を見ておきましょう。
売上高は前年比+8.8%の2,144億円、営業利益は+6.9%の642億円と増収増益の予想で堅調に推移する見通しとなりました。
営業利益率も11.2%と2024年3月期と同水準での推移を予定しています。
2.BSの状況
次はBSの状況について見ていきましょう。
資産全体としては前年末から+61億円増加しました。
流動資産は△3億円減少しましたが、そのうち現預金で△43億円の減少がありました。この点に関しては後のCFの状況で見ていきます。
それ以外では売上高増加に伴い売掛金で+27億円の増加が見られました。
固定資産では+64億円の増加がありましたが、有形固定資産で+58億円の増加がありました。
これは物流拠点に対する投資が進んだことによるもので、2025年3月期でも自動化・省人化を目的とした投資は更に進めていく予定です。
負債に関しては△19億円減少しましたが、このうち未払法人税等で△10億円減少、賞与引当金で△11億円が主な内容となります。
また借入金に関しては長期借入金はなく短期借入金のみとなりますが、△4億円減少しています。
手元のキャッシュが600億円以上あり、設備投資額は100億円以下のレベル感なので、状況的には長期の借入金は不要となります。
純資産に関しては+80億円増加していますが、これは自己株式の消却が329億円進んだことによる影響が一番大きいです。
自己株式消却により株価上昇の効果が見込めまるので、その点を意識しての経営判断だったものと考えられます。
3.CFの状況
最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から△43億円減少しています。
内訳としては営業CFで+425億円、投資CFで△98億円、財務CFで△371億円という内容です。
営業CFは税引前利益で600億円超あり全く問題ないレベルです。
他の項目でも特段異常な動きもありませんでした。
投資CFに関しては、先ほどBSの状況で見たいように、物流拠点に対する投資が進んでおり、前年に続き100億円程度の投資が実行されています。
また次年度も物流拠点への投資は継続されますが、予定金額70億円とここ2年間と比較すると減少する見込みです。
財務CFに関しては、前年と比較して配当金の支払いが90億円増加した点と自己株式取得で100億円の支出があった点が主な内容となります。
配当金に関しては、ここ数年間の推移を見ても増配を継続しており、株主還元を意識した動きとなっています。
次年度に関しても更に増配する予定となっています。
全体的にZOZOの決算説明資料は非常に見やすく・分かりやすい資料構成となっていて、見ていて楽しかったです。
今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?
マサキタカオ
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