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ツルハHDの決算内容を3分で解説!

今回はツルハHDの決算内容について見ていきましょう。
北海道で圧倒的なシェアを持つこの会社、ドラッグストア業界売上高では2位に位置しています。決算内容も堅調な様子です。


1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+5.9%の9,700億円となりました。
営業利益は前年比+12.3%の455億円、当期純利益は+18.1%の252億円と利益に関しては二桁増の増益と堅調に推移しました。

光熱費などの一般管理費は前年比+168億円増加しましたが、売上高の増加や粗利率の改善効果により全ての利益項目で大幅な増益となりました。

出所:決算説明資料

ではもう少し詳細に関して見ていきましょう。

まず国内の出店状況ですが、この1年間で店舗数は+67店舗増加しました。
140店舗の新店舗出店に対して74店舗の閉店、そして1店舗の子会社化という内訳です。
ツルハHDとしての最終的な店舗数としては2,589店舗になります。

店舗としては「ツルハ」が1,416店舗と全体の5割強を占めています。
また各店舗での売上高と営業利益率は殆どの店舗で前年を上回る結果を残しており堅調に推移しています。

あとこれはツルハHDの一つの特徴ではありますが、下の店舗名を見ていただくと様々な店名があることが分かります。
これはM&Aによって吸収した会社の名前をそのまま残しているためです。
これは買収先にツルハの名前・文化を押し付けることなく、その地域に根ざした店舗と一緒に成長していきたいという意志の表れではないかと考えられます。

出所:決算説明資料

また国内地域別で店舗状況を見てみると東北が一番多く593店舗です。
次いで関東甲信越で529店舗、その次が本社のある北海道の425店舗という状況です。
本社のある北海道ではこのツルハHDが圧倒的なシェアを誇っています。
あと海外店舗として唯一タイに18店舗出店しています。

出所:決算説明資料

商品別の売上高の状況についても見てみましょう。
一番の売れ筋は「日用雑貨」で全体の26.3%を占めています。
次いで「食品」で24.8%となっており、この2商品で全体の半数以上を占めています。まるで食料品スーパーの様な売上品目ですね。
3番目としてようやく「医療品」の23%が登場してきます。
またコロナ禍からの回復により、マスクを外して活動する人が増えてきている影響で、化粧品の売上が増加傾向にあるのが今回の特徴です。

出所:決算説明資料

この商品群の中にはPB商品(プライベートブランド)が含まれています。
その割合としては売上高全体の中で9.6%となっています。
中でも日用雑貨と食品の売上が好調で、前年比二桁増で推移しています。
この傾向は全体の売上高と同じ推移となります。
またPB商品が増加することの利点としては「粗利率の改善」が考えられます。実際一部の商品ではその効果が示されています。

出所:決算説明資料

では中期経営計画の内容に関しても少し触れておきましょう。
中期経営計画としては5つ「店舗戦略」「調剤戦略」「PB戦略」「DX戦略」「財務戦略」があります。
今回は最初の3つに関してみてみましょう。

◇店舗戦略
大きな取り組みとしては、2025年5月期までに「国内店舗数を2,750店舗」にすることです。
次年度の2024年5月期では、収益力確保を主眼に置いた出店計画で126店舗の出店を計画しています。
一方で既存店の改廃により64店舗の閉店も計画しています。
ただ闇雲に出店数を増やすのではなく、既存店の収益力改善を図りつつ儲かる店舗を出店していく考えです。

出所:決算説明資料

◇調剤戦略
大きな取り組みとしては2025年5月期までに「調剤売上高を1,400億円」まで伸ばすことです。
その為に店舗併設を中心とした出店を強化して、店舗数を1,170店舗まで増やす計画です。
またオンラインを活用した処方箋数の確保や調剤分野のDXを推進することで目標の売上高を目指していきます。

出所:決算説明資料

◇PB戦略
大きな取り組みとしては2025年5月期までに「PB商品売上構成比12%」にするという内容です。
その為にシリーズラインナップの強化や大手メーカーとの共同商品開発を推進することで目標を達成する計画です。
今回の決算ではPB商品売上構成比9.6%だったので、あと2年間で+2.4%引き上げるのはなかなか大変だと思いますが、これが達成できれば利益率改善効果も期待できます。

出所:決算説明資料

では次年度の2024年5月期の通期計画に関しても概要を見ておきましょう。
売上高は前年比+6.5%の1兆330億円、営業利益は+3.6%の472億円と増収増益の見通しです。
売上高に関しては1兆円超えと大台突破の見通しです。
先程の中期経営計画の各目標数値達成を目指して進んでいけば、通過点である次年度計画は自然と達成できることになると考えられます。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から△225億円減少しました。

出所:決算説明資料

流動資産では△432億円減少しましたが、そのうち現預金が△479億円と大きく減少しました。この点に関しては後のCFの状況で触れていきます。

一方固定資産に関しては+206億円増加しましたが、そのうち有形固定資産で+173億円の増加が見られました。
この点はこの1年間で店舗数が67店舗増加したことが要因と考えられます。
またのれんに関しては償却が進んだことにより△42億円減少しました。
のれんは個別案件ごとに判断して、5〜20年間で均等償却しています。

出所:決算短信

負債に関しては△426億円減少しましたが、そのうち買掛金が△474億円と大きく減少しました。
これはツルハの前年の決算日「2022年5月15日」が日曜日だったため、買掛金の支払いが実行されず、その分残高が通常より多く残ってしまったことに起因します。
あと借入金は返済が進んだことにより△72億円減少しました。

出所:決算短信

あとは安全性の指標に関しても少し見ておきましょう。
流動比率(流動資産÷流動負債)は163%と目安に200%には届きませんでしたが、懸念があるレベルではありません。

固定比率(自己資本÷固定資産)に関しては99%とギリギリ基準の100%を下回っています。
新店舗出店が進んで固定資産は膨らんでいますが、その分しっかり利益を出しているので自己資本も増えており安全性は保たれています。

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から△479億円減少しました。
内訳としては営業CFで+8億円、投資CFで△297億円、財務CFで△190億円という内容です。

出所:決算説明資料

営業CFに関しては、税引前利益で+434億円としっかり稼げていますが、今回は仕入債務の減少で△474億円の支出があり、利益のプラスを一気に吹き飛ばしてしまいました。
これはBSの状況で触れましたが、決算日が日曜日だった関係で支払いタイミングが遅れたことが要因となります。
あくまで暦の問題でありツルハHDのオペレーションに問題があるわけではありませんので、この点は仕方ないかと考えます。

出所:決算短信

投資CFに関しては、新規出店に伴う有形固定資産の購入で△247億円の支出がありましたが、例年レベルの投資額で特段問題はなさそうです。

財務CFに関しては、返済スケジュールに沿った借入金の返済で△72億円、あとは配当金支払で△97億円と毎年発生している内容となります。

今回は営業CFにプラス幅が少なかったこともあり、フリーCFは△289とマイナスとなってしまいました。
ただこの点は暦の問題による支払いタイミングのズレなので、問題がある内容ではないかと考えます。

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?

マサキタカオ


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