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サーキュレーションの決算内容を3分で解説!
今回はサーキュレーションの決算内容について見ていきましょう。
プロシェアリングという新しい形のサービスを展開しているこの会社、決算内容はどうでしょうか?
1.PLの状況
まずはPLの状況について見ていきましょう。
売上高としては前年比+29.0%の71億円となりました。営業利益は前年比+9.4%の5億円、当期純利益は+17.7%の3億円という結果です。増収増益ですね。また業績予想に対しては、売上高は若干下回りましたが、それ以外の利益項目に関しは予想を上回る結果となりました。
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金額の観点から見ると全ての項目で前年より増加していますが、利益率という観点で見ると少し見え方が変わってきます。
前年の営業利益率8.8%に対して今回は7.5%と利益効率は悪くなっています。営業利益の一つ前の売上総利益率で見ても前年の42.2%に対して今回は41.2%とやはり悪くなっています。
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悪化の要因としては売上原価のコストアップがありますが、開示資料の中からはその詳細情報までは見ることができませんでした。もう一つの悪化要因である「販管費増加」に関しては情報がありました。
前年比で+5億円増加していますが、内容としては給与関連で+2億円、広告宣伝費で+1億円増加しています。
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給与関連増加に関しては、業務拡大を理由としてこの1年間で人員が+53名と大幅に増加しましたのでこれが増加要因と考えられます。
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サーキュレーションは単一セグメントの為、全体的な観点で内容を見ていきます。その中でサービス内容としては大きく三つ、「プロシェアリングコンサルティングサービス」「FLEXYサービス」「その他」と分かれています。売上高の割合としてはプロシェアリング:54%、FLEXY:43%、という割合です。元々はプロシェアリングが大多数でしたが、ここ3年ほどでFLEXYが急速に売上高を伸ばしてきてプロシェアリングに迫る勢いになりました。
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売上高に直結する重要指標として「稼働プロジェクト件数」がありますが、その推移を見てみるとここ4年間で5倍超と急成長を遂げています。
全サービスでの件数は4年前の2018年は2,267件でしたが、今年2022年は11,769件となりました。
また「累積取引企業数」も2018年の929件から2022年は3,921件と4倍超と稼働プロジェクト件数と比例して増加を続けています。
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取引企業数・稼働プロジエクトの増加もさることながら、1稼働プロジェクトの平均請求金額が増加していることも大きな点です。
2021年1Qの平均単価は470千円でしたが、2022年4Qでは511千円と+41千円と大幅に増加しています。そうなれば当然売上高は増加していきます。
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また効率性の観点から見ても好況の要因をうかがうことができます。
取引企業数や稼働プロジェクト数が増えるに伴ってコンサルタントの人数も当然に増加しますが、コンサルタントの人員増加率よりも生産性増加率の方が上回っています。人員増加率1.07倍に対してコンサルタント生産性1.11倍と効率よく稼ぐことができています。
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このように取引企業数増加→稼働プロジェクト平均単価増加→生産性増加というサイクルが上手く回っており好況を維持できていると考えられます。
ただこれも既存プロジェクトをしっかりと遂行することで顧客の信頼を得ていることが土台となっているのではないかと思います。
その結果、既存と新規プロジェクトがバランス良く積み上がるという好循環サイクルを作り上げることに成功しています。
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2.BSの状況
次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から△5億円減少しています。内訳としては資産の部の現預金で△7億円減少しています。この点は後のCFの状況で説明していきます。固定資産の項目では特に大きな動きはありませんでした。
負債の部では前年末まで長期・短期併せて8億円あった借入金がゼロになっています。
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前年までの返済スケジュールでは完済するまで4年かかる計画でしたが、今年度で一括返済されています。詳細情報を確認することはできませんでしたが、BS CF上では関西している事実は確認できます。
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他の大きな動きとしては純資産の部の自己株式取得1億円が挙げられます。
今回はかなり利益を稼ぎ出すことができたので、株主還元として自己株式取得をすることは異論のない判断ではないかと思います。
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この自己株式取得△1億円に対して当期純利益で+3億円あるので、純資産としては+2億円増加という結果となりました。
3.CFの状況
最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては△7億円減少しました。内訳としては営業CFで+2億円、投資CFで△0.6億円、財務CFで△9億円という内容です。
営業CFでしっかりと稼いでいるのでもう少し投資に資金を投入しても良いところですが、事業内容的に大型投資が発生する場面も多くありません。
ただ2022年8月に新拠点として四国支店を高知県に開設しました。今後もこのような新拠点への投資は出てくるかもしれません。
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財務CFの△9億円の内容は、BSの状況でも触れた自己株式取得と借入金返済によるものです。特に自己株式取得に関しては、株主還元の意味もあるので全体のCFのバランスを考慮しながら慎重に決定していると考えられます。
現状のCFの状況から考えるとあまり心配はありませんが、不測の事態への備えとして取引銀行4行と総額4.5億円の当座貸越契約を締結しています。
金額としてはあまり多くはありませんが、今の段階では特段問題ないかと考えられます。
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今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?