
マネーフォワードの決算内容を3分で解説!
今回はマネーフォワードの決算内容について見ていきます。
3年ぶりにEBITDAベースで黒字回復し、売上高も順調に成長を続け好調のように見えますが実態はどうでしょうか?
1.PLの状況
まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+33%の403億円と過去最高となりました。
営業利益は以前赤字ですが、前年から15億円赤字幅を減少させ△47億円の営業損失でした。
一方でEBITDAベースで見ると黒字化かつ過去最高の17億円となりました、

ここ7年間の売上高の推移を見ると8.7倍と驚異的な成長を示しています。
中でもBusinessドメインは売上全体の約6割を占めており、Businessドメインの成長がそのまま全体の成長に繋がっています。

EBITDAを見ると売上高と同じような右肩上がりの曲線を描けているわけではありませんが、その成長の成果は示しています。
営業利益ベースでの黒字化はまだですが、今回の決算で2021年以来3年ぶりにEBITDAベースで黒字化・過去最高となりました。

ではなぜEBITDAが大きな成長を見せることができたのでしょうか?
それにはEBITDAの構成内容を見ていく必要があります。
EBITDAを算出する計算式は以下となります。
「営業損益 + 償却費 + 営業費用に含まれる税金費用+株式報酬費用」
前年のEBITDA△22億円に対して今回は+17億円なので+39億円の増加となります。
まず営業損益の増減を見ると、前年の△63億円の赤字から15億円赤字を削減しています。
売上高が前年比で+100億円増加している点、売上総利益率が63%から67%に上昇した点により営業損失が改善されたと考えられます。

償却費に関しては減価償却費/のれん償却額が含まれていると考えられ、前年比+11億円増加しています。
また株式報酬費用は+10億円増加しています。

このように構成別に見ると今回は売上高の増加による要因が一番大きかったことが分かります。
あと売上原価と一般管理費の推移に関しても見て見ましょう。
コスト全体で一番大きな割合を占めるのが人件費・外注費です。
対売上高比率で見ると70%とダントツです。
製造業などであれば材料仕入などが大きな割合を占めますが、ソフト開発がメインのために人件費・外注費が大きくなることは必然と考えられます。
次に大きな割合を占めるのが広告宣伝費です。
今回の決算では16%となっておりますので、売上高403億円から推測すると64億円程度が広告宣伝費に費やされたと考えられます。
前年の状況も見てみると、前年売上高303億円に対して19%なので57億円程度と推測できます。
このようにみると前年よりも広告宣伝費に費やす金額は増加していますが、それ以上に売上高が増加しているため、広告効果は高まっていると考えることができます。
またこの広告宣伝費が営業利益ベースでの黒字化のカギを握っていると考えることもできます。
仮定の話にはなりますが、今回の決算で営業損益△47億円だったので、仮に広告宣伝費を大幅に削減した場合黒字化達成も可能ではあります。
営業利益ベースでの黒字化も視野に入れる頃合いかもしれませんので、この点は今後注目していきたいと思います。

2.BSの状況
次にBSの状況について見ていきましょう。
総資産は前年末から+179億円増加しました。

流動資産は+113億円増加しましたが、そのうち現預金で+63億円の増加がありました。現預金の増減に関しては後のCFの状況で見ていきますが、三井住友カードとの合弁会社設立による影響を大きく受けています。
簡単に言えば、SMCCに株式49%を譲渡することで140億円の資金を手にすることになりました。
その影響で現預金が増加しています。


固定資産に関しては+65億円増加しましたが、そのうちソフトウエアを含む無形固定資産で+35億円の増加がありました。
あとは投資有価証券の新規取得などで+21億円増加しています。
負債に関しては+78億円増加していますが、そのうち短期・長期借入金が+50億円増加しました。
短期借入金の増加が大きいことから、運転資金の不足分を補うための借入ではないかと考えます。
純資産に関しては100億円増加しましたが、主な増加要因は先ほど触れたSMCCへの株式譲渡により「非支配株主との取引に係る親会社の持分変動」で+127億円増加したことによるものです。

3.CFの状況
最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から+63億円増加しました。
内訳は営業CFで△47億円、投資CFで△95億円、財務CFで+203億円という内容です。
営業CFは依然各段階損益が赤字でありますが、EBITDAのように償却費や株式報酬費用などの項目を考慮するとプラスになります。
営業利益ベースでの黒字化までにはまだ時間がかかりそうなので、しばらくは今の状況が続きそうです。

投資CFに関しては無形固定資産の取得で△62億円の支出、投資有価証券の取得で△23億円の支出が主な内容です。
財務CFに関しては短期・長期借入金の借換えなどで+50億円の収入、あとはSMCCへの株式譲渡による+140億円の収入が主な内容です。

やはりまだ各段階損益が赤字のため稼ぐ力が十分ではなく、結果として財務CFに頼ってしまう傾向が続いています。
今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?
マサキタカオ