見出し画像

内田洋行の決算内容を3分で解説!

今回は内田洋行の決算内容について見ていきましょう。
1910年の創業から一世紀以上反映を続けているこの会社、まだまだ成長を続けている様子です。


1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+12.7%の2,779億円と二桁増の堅調な推移を見せています。
営業利益は前年比+10.8%の93億円、当期純利益は+9.9%の69億円と利益面でも堅調に推移し、当期純利益では過去最高益となりました。

出所:決算説明資料

売上高は過去二位の記録、当期純利益は過去最高と好調な結果となりましたが、その中でも将来に向けた投資活動も強化しています。
賃金ベースアップなどの人的投資、顧客接点の強化などのマーケティング活動費用、販売管理システムなどの設備投資・試験研究等に資金を投入しています。

出所:決算説明資料

それでは各セグメント別に内容を見ていきましょう。
セグメントとしては3つ「公共関連事業」「オフィス関連事業」「情報関連事業」があります。

出所:決算説明資料

◇公共関連事業
売上高は前年比+0.3%の809億円、営業利益は△11.8%の30億円と増収減益となりました。

出所:決算説明資料

自治体、官公庁市場では前年にあった大型ICT案件の反動もあるものの、大学市場などが伸長し、概ね計画通りに推移しました。
教育ICTではGIGAスクールの端境期にある中、大量の端末整備に対応するためのネットワーク構築案件などで強みを発揮したほか、教室環境のICT化で大型案件の獲得がありました。
大学市場では、大学の学部・学科の新たな設 置や改編による施設設備の整備や、ICTに対応した教室環境構築の大型案件により、売上高は大きく伸長しました。また学校や公共施設の設備整備案件も増大しました。
一方、全社の投資増大にともない、構成比率が高い公共関連事業分野の負担が大きいことに加え、前年に子会社化したComputer Based Testing(CBT)プラットフォームを開発するOpen Assessment Technologies S.A.社での 試験研究投資も開始したことから、販管費は増大しています。

出所:決算説明資料

◇オフィス関連事業
売上高は前年比+10.2%の563億円、営業利益は+51.2%の16億円と大幅な増益となりました。

出所:決算説明資料

東名阪エリアを中心に、ハイブリッドワークスタイルに対応した新たな需要が着実に拡大しています。
また好調な企業業績を背景に、人材確保のための投資の意識がこれまで以上に高まっており、オフィス の増床や大型移転案件、R&D部門など本社部門から周辺部門へとオフィスリニューアル案件が順調に拡大しました。
また海外事業において、米国を中心とするホビー・クラフト関連の製品販売も堅調に推移しました。

出所:決算説明資料

◇情報関連事業
売上高は前年比+22.8%の1,396億円、営業利益は+20.7%の44億円と、売上・利益ともに二桁増の堅調な推移となりました。

出所:決算説明資料

大手民間企業でクラウドベースのサブスクリプション型ライセンスの大型の契約が伸長しており、クラウド型のインフラ構築サービスや、生成AIに関連する商談も増加しています。
また大手企業のフリーアドレ ス化の進展にともなって社員の位置情報やオフィスビルに関するデータを可視化してコミュニケーションを促すシステム導入や、会議室運用支援サービスなど、データを活用したクラウドサービスの獲得も進みました。
これらの案件では オフィス関連事業分野との相乗効果が拡大しています。
完全子会社化したウチダエスコではキッティングサービスなど の民間向けITサービス分野が拡大しました。
また、グループが強みを持つ食品業等のユーザーを中心に、2023年10月1日に開始されたインボイス制度に対応するための業務系システムのプログラム改修需要の獲得が大きく拡大し、中堅中小企業向けICTビジネスも順調に推移しました。

出所:決算説明資料

◇2025年7月期 業績予想
では次年度の業績予想に関しても概要を見ておきましょう、
売上高は前年比+7.9%の3,000億円、営業利益は+7%の100億円の増収増益の見通しです。
大手民間市場でのDX投資を中心としたICT関連ビジネスでは着実な伸長を見見込んでいます。
また人材獲得や育成への意識も高いことから、オフィス投資も継続して伸長するものと想定しています。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から+176億円増加しました。

流動資産は+80億円増加しましたが、そのうち現預金で+11億円の増加がありました。この点に関してはあとのCFの状況で見ていきます。
それ以外では売上高の増加に伴い売上債権が+88億円増加しました。

固定資産+96億円増加しましたが、そのうち投資有価証券で+51億円の増加、退職給付に係る資産で+47億円の増加が見られました。
これはここ最近の株式市場の好調による評価額の増加が影響していると考えられます。

出所:決算短信

負債に関しては+53億円増加しましたが、買掛金などの支払債務で+26億円の増加、繰延税金負債で+31億円の増加が主な内容です。
繰延税金負債の増加は、固定資産で触れた投資有価証券の増加に伴う税効果処理の結果増加したものと考えられます。

出所:決算短信

純資産に関しては+123億円増加しましたが、当期純利益の+69億円が約半数を占めて、残りの半数はその他有価証券評価差額金の+36億円と退職給付に係る調整累計額の+30億円となります。
評価差額金と退職給付は、固定資産で触れた投資有価証と退職給付の増加に連動した増加となります。

出所:決算短信

安全性の指標に関しても少し見ておきましょう。
流動比率(流動資産÷流動負債)は145%と目安の200%を切っていますが、特段問題があるレベルではありません。
固定比率(固定資産÷自己資本)は83%と目安の100%を下回っており良好な状況を維持しています。

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から+7億円増加しました。
内訳としては営業CFで+48億円、投資CFで△18億円、財務CFで△23億円という内容です。

営業CFは税引前利益で+100億円以上稼いでおり良好です。
ただ売上債権増加の影響で△87億円ありましたので、この点は今後注意が必要かと考えます。

投資CFに関しては、無形固定資産で△13億円の支出がありましたが、それ以外では大きな投資案件などはありませんでした。

財務CFに関しては、配当金の支払いで△18億円の支出がありましたが、借入金などでの大きな動きも特段ありませんでした。

出所:決算短信

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?

マサキタカオ

いいなと思ったら応援しよう!