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タマホームの決算内容を3分で解説!
今回はタマホームの決算内容について見ていきましょう。
ハウスメーカーで中堅に位置するこの会社、決算内容はなかなか好調のようです。
1.PLの状況
まず最初はPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+6.4%の2,560億円となりました。
営業利益に関しては前年比+11.5%の132億円、当期純利益は+5.2%となり、売上高・営業利益・当期純利益全て過去最高を記録しました。
これで8期連続の増収増益と好調をキープしています。
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では詳細について見ていきましょう。
セグメントとしては4つ「住宅事業」「不動産事業」「金融事業」「エネルギー事業」があります。
売上高の規模感としては住宅事業で全体の8割弱を占めています。
次いで不動産事業で2割弱を占めており、残りは2事業という感じです。
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過去3年間の売上高の推移を見てみると、主要2事業は毎年増収と堅調に推移していることが分かります。
ただその他の事業に関しては、今のところ事業規模拡大というフェーズまでは至っていない状況です。
この辺りは今後の課題となりそうです。
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営業利益に関しては少し様子が違ってきます。
住宅事業が全体の7割弱、不動産事業が2割弱と主要2事業がほとんどの割合を占めている状況は売上高と同じです。
ただ前年比で見ると、住宅事業が前年比+69.5%と大幅増益に対して他の事業は全て減益となっています。
今回の過去最高益は住宅事業の増益に支えられた結果となります。
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この住宅事業の好調の背景には「価格調整」、いわゆる値上げを継続して行なってきた成果があります。
2021年5月期4Qの平均販売単価を100とした場合、2022年5月期には約+10%増加となり110まで上昇しました。
この期間は原価高騰により売上原価のコスト上昇がありましたが、世界的に需要が回復してきたこともあり値上げに成功しました。
そこから2023年5月期にかけては、ウクライナ情勢に始まりエネルギー・資源高、金利上昇、円安進行など本当に色々なことが起こっています。
そんな中、約+5%の値上げに成功しています。
このようにコストが上がった分は適切かつ積極的に値上げをお願いしてきた結果、連続増収増益に繋がったと考えられます。
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ではこの好調な住宅事業の各セクションに関して状況を見てみましょう。
まず注文住宅の引渡実績ですが、過去3年間の推移で見ると毎年増加を続けています。
ただ引渡金額の前年比は+4.6%となっていますが、引渡棟数で見ると前年比△5.2%と減少しています。
棟数では減少しましたが金額ベースで見ると増加しているのは、先程先程触れた販売価格改定の影響によるものです。
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戸建分譲に関しては引渡金額で前年比+33%と大幅に増加しました。
引渡棟数に関しても前年比+31.1%とこちらも大幅増です。
単価・数量ともに増加しているので、金額ベースで見ると当然ながら大幅増となります。
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リフォームに関しては金額規模としては一番小さいですが、過去3年間の推移では堅調な成長を示しています。
前年比+7.9%と連続増収へしっかり貢献している事業です。
リフォームなのである程度年数の経過した住宅が対象になってきます。
取り組みとしては入居後10年経過したお客様へ保証延長工事の提案や、入居後15年以上経過のお客様への継続的な保証延長工事の提案などを行なっています。
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あと2024年5月期計画に関しても少し触れておきましょう。
売上高は前年比+0.4%の2,570億円、営業利益は+6.3%と継続して増収増益となる予定です。
詳細は分かりませんが、すでに確定している受注から引渡予定の物件をもとに計画を作成していると考えられるので、増収増益の実現可能性としてはかなり高いのではないかと思います。
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2.BSの状況
次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から+64億円増加しました。
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流動資産では+52億円増加しましたが、そのうち棚卸資産が+51億円増加しています。
ここでの棚卸資産は、建設中または完成済みだけどまだ販売されていない物件が該当します。
特に完成済みで未販売の「販売用不動産」の増加が大きく+73億円増加しています。建設途中の棚卸資産の増加であればまだ良いのですが、完成済みで未販売の棚卸資産の増加は良い状態ではありません。
もちろん資材価格高騰などコストアップの要因も考えられますが、この点に関しては注意が必要です。
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負債に関しては+24億円増加しましたが、そのうち短期・長期合わせた借入金合計で+17億円増加しました。
短期借入金の増加なので、何か大きな設備投資による資金調達ではなく、通常のオペレーション上の運転資金不足が要因と考えられます。
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純資産に関しては+39億円増加しましたが、そのうち自己株式取得による△10億円が含まれています。
前年も4.5億円の自己株式取得がありましたので、株主還元として定期的に自己株式取得は実行しているようです。
あと他の増減要因としては、当期純利益+87億円と株主への配当金の△36億円と毎年発生している内容となります。
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それでは安全性の指標に関しても少し触れておきましょう。
流動比率(流動資産÷流動負債)は110%と目安の200%は下回っていますが、100%以上は維持しているのでとりあえずは大丈夫かと思います。
この点は先程触れた棚卸資産の増加分が販売されて現預金に振り替わっていけばある程度は解決する問題かと考えます。
あと固定比率(固定資産÷自己資本)に関しては77%と目安の100%を下回っているので問題ないレベルかと思います。
3.CFの状況
最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から+8億円増加しました。
内訳としては営業CFで+63億円、投資CFで△26億円、財務CFで△29億円という内容です。
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営業CFは税引前利益で+131億円としっかり稼げているのでこの点は問題ありませんが、棚卸資産の増加影響△47億円があります。
この棚卸資産の増加に関しては今後も注意が必要です。
投資CFに関しては、有形固定資産への投資で△27億円の支出がありましたが、毎年ある項目で金額的にも問題ない水準かと考えます。
財務CFに関しては短期借入金の増加で+15億円の収入がありましたが、長期的な目線での資金需要は今のところないかと考えます。
短期運転資金が不足した分を短期借入金で補った結果かと思います。
また増益が続いている状況のため、配当金に関しても増配が続いています。
2024年5月期に関しても+5円の増配の予定です。
自己株式取得も定期的に実施しているので、配当金と合わせて株主への還元もしっかりとケアしている印象です。
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今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算をみようかな?
マサキタカオ