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第二回課題「風を聴いた遠回り」

『風を聴いた遠回り』 (よねちゃん)

わたしは聴いた 自然のささやき声を
わたしは聴いた 草花のそっとゆれるのを
わたしは聴いた 青い大空に白い雲の浮かぶのを
わたしは聴いた 子供たちがステップをかけあがるのを

全身全霊で

 
草は風にゆれ わたしの思考を転がした

草は生きる 上へ上へ 前へ前へ
草に意志はあるのか 上へ上へ 前へ前へ
草の選択肢が 上と前と風のみならば
人の選択肢は もっと多くある

人は振り向くこともできるし 見上げることも しょんぼりうつむくことも 左右に曲がることもできる
なんなら 人の思考は 時に逆らうことも 壁を通り抜けることもできるだろう

見上げれば 空は宇宙へ通じ
下を向けば 地球という星がわたしを包み込み
前には未来が
後ろには思い出が
左右に寄り道の小路が用意されている

真夏の道を歩けば
「下水管はロマンだ」
と道の下を見つめ言いのけた好青年を思い出す。

大きな建物に入ると 中の広間に光が射し込む
この窓明かりひとつさえも 計算しつくされた人々の知恵ならば
この木目に いにしえの人々の思いと 樹木の何百年の歳月を感じるならば

あぁ なんて楽しい!!
この宇宙の世界の地球の今ここの物語を 感じようじゃあありませんか!

それなのに 普段は何も感じない
なぜ

我々はなぜ何も見えないのか

真っ暗な画用紙に針で
 点
と穴をあけて 一生懸命のぞき込んでは
表面のススをあげつらっているのではないだろうか

人の背後の物語を見ることもなく
角の汚れに目をやっては
誰だ 誰だ と騒ぎ立てている

清掃のおじさんの 困り顔を思っては
わたしはため息をつく

人には事情あり
物には物語あり
場所には歴史あり
なのに

そうして世界は
今日もまた 転がってゆく

考え事の後
ふっと我に返る

昔々米軍の土地だったはずの大きな道
その大きな道端で草っぱらが
今は市民の営みをながめている

全身全霊で
わたしは聴いた この草たちのゆれるのを

ふきぬける風は 草たちをなびかせ
ここは 草っぱらだよ と
ここに 風があるよ と
何も言わずに
すべてを語っていた

それまでの自分の思考は どおってことなく感じる

人は目をつぶるようにできている
それは見ないようにするためだけじゃなく
よく見えるためなんじゃないか とさえ思った

遠回りしようか と
わたしは 風を聴いた





この詩は、2024年7月から隣町珈琲で、詩人・松下育男さんによる詩の教室「現代詩の入り口」の第二回に、私が提出した詩です。


2024年7月から隣町珈琲で、詩人・松下育男さんによる詩の教室「現代詩の入り口」が開講



第二回目の講座の感想は。

前回、第一回目を流行り病で欠席した私でしたが。

なんと!

第二回目は、主人が実家に一人で帰ってしまいました!

困った私は、やむなく第二回も欠席しました……。

なんてこった!

ちなみに、昼間に隣町珈琲さんに行って、カフェインレスのコーヒーを頼んでゆっくりしました。とても素敵な雰囲気に、ああ、こんなところで講座聞けたら、さぞかし素晴らしい時間に違いない! と思いました。

それで、講座の後でよく復習をしました。

また、講評も頂けて嬉しかったです。

さいごの自分の思いを打ち消すところがもったいないと知り、自分の思いも大切にしようと思い直しました。

とても良かったです!

(続く。)



他の回の講座での私の詩と感想はこちらです。




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