物語(X):燻りの崖から宇宙を眺め
え、今日までですか?
では、最後に滑り込みます。
JISAIONEさん!
👆 X『White Rusty Wings』
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燻りの崖から宇宙を眺め
オイ、君。いつまで燻っているんだよ!
え……?
夜の街。ネオンサインはチカチカ眩しく人間の欲望を誘惑している。
諦めたのかよ、夢。
何のこと……。
分かってるだろう、自分で。
……。
待ってるぜ。
……。
宇宙。好きなんだろ?
……。
どうしてこっちへ来ないのさ?
……。
私は。大学院にいる時までは、順風満帆、……とまではいかなかったけれども、とにかく、宇宙へひたすら向かっていた。だけども、その道が、ある日突然。プッツリと。道が崖のように思えた。何もかも分からなくなって。何もかも宇宙へ続いていたはずの道は、途中で通れなくなってしまったように感じた。
いや。
行こうと思えば無理矢理にでも行けたのかもしれない。だけど……。
その時、遠くに見える、宇宙へと続く道が、霧の向こうに微かに見えた。それでも、その道と、今いる道とは、真っ直ぐには繋がっているようには思えなかった。崖が間にあって、どうやって越えてゆくのかは不明だった。
諦めた訳じゃない。ちょっと世界を見に行って勉強するんだ。そう言い聞かせて、私は崖を飛び越えるのをやめた。
それで私は。
その時々の最良と思える選択をしてきたつもりだった。
そうして、気づいたら。この街の夜のネオンサインの間をふらふらふらふらと歩いているのだった。
いい加減に、目を覚ませ。
大丈夫だから、戻ってこい。
誰だよ。誰なんだよ。そんなことを言うのは。
悔しくて、悲しくて、いつか失くした夢の欠片のような熱い何かが、腹から食道、喉を通って、目の辺りで熱い涙に変わったようだった。
歩いて歩いて歩いてゆく闇の道。
ふと見上げると、滲んだ光のうねり。夜空が宇宙という世界になっていた。
帰ってこい。宇宙へ。
帰ってこい。君の夢へ。
帰ってこい。待ってるから。
夜空は、今宵も満天の宇宙である。
おわり
どうも、ありがとうございました!
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