街。歩いているだけで、それは物語。:詩
街。
歩いているだけで、それは物語。
すれ違う親子連れと親子連れ。
改札を通り抜ける子どもと母親。
すれ違うキャリーケースとキャリーケース。
晴れた秋に雨傘をさすキャリーケースのお兄さん。
秋の青空の下、私は思いに耽る。
街。
歩いているだけで、それは物語。
サイレンはけたたましく鳴り街を通り抜けてゆく。
街はサイレンに染まり、しばらくするとまた街に戻る。
手さげには新しい本が四冊。
早く物語を読みたい。
この街もそれぞれの物語に浸してある。
街。
歩いているだけで、それは物語。
カフェに入ろう。
この物語を書き留めておこう。
それから本を開こう。
さっき読みかけの続きが読みたい。
私は私の物語に入り込む。
街。
歩いているだけで、それは物語。
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