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真面目人間の苦しみ

 真面目な性格とされるのは、世間的には良い評価であると言えます。何よりも真面目に努力することは自らを成功に導くためには必須であるからです。しかし、そのように世間から高評価を受ける人が一変、人々を驚かすような事件を引き起こすことがあります。そのメカニズムとは何なのでしょうか?

 真面目な性格とはつまり、自分をコントロールする能力が高いということです。コントロールとは、自分を抑制するということです。たとえば規律を遵守したり、目的に向かってわき目も振らずに取り組むことができたりするということです。
 もちろんそれは自らの意思によるものです。自分で自分を抑制しているのです。しかし、それと同時に抑制されているという受動的な感覚も感じているのです。自分をコントロールしている人は、常に誰からか抑圧されているという感覚を感じているのです。それは苦痛にほかなりません。だからそれに対して常に反発的な感情、怒りを内在しているのです。しかも、それだけ自分は苦しんでいるにもかかわらず、それに頑張って耐えているにもかかわらず、それが讃えられるどころか、現代では真面目を嘲笑するような風潮があったり、平気で規則を破るのを見せつけてくるような人間がいたりします。それによって、まるで自分が否定されたように感じるのです。だからその怒りの矛先が、彼らに向かうようになるのです。それが特定の個人であることもありますが、世間一般であったりすることもあります。
 結局のところ、自分の苦しみをわかって欲しい、自分を認めて欲しいと思っているということです。それはもちろん、自分で自分を認めていないからなのです。

 一般的に自分をコントロールするのは、それによって認めてもらいたいと望んでいるからです。なのに、その望みが叶えられないどころか、批判や嘲笑の対象になるなどの仕打ちを受けると、それまで一生懸命耐えてきただけに、その絶望たるや計り知れないものがあります。「自分は何も悪いことはしていない。それなのになぜこんな思いをさせられなければならないのか?」このような被害者意識は、どんな破滅的な行動にもつながる動機になり得るのです。

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