書籍紹介|『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』から学ぶマーケティングの極意―ハロウィン大成功の舞台裏🎃
『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』から学ぶマーケティングの極意―ハロウィン大成功の舞台裏
おはようございます!
税理士の大橋弘明です。
今回は、
マーケティング戦略の名著として
高い評価を受けている森岡毅さんの
『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』を
ご紹介します。
この本の中で特に興味深いのが、
USJのハロウィンイベントを
大成功に導いた戦略についての記述です。
現在、街中で当たり前のように見かける
ハロウィンの装飾や仮装。
でも実は、
2010年頃までは
ほとんど盛り上がっていなかったのを
ご存知でしょうか?
お菓子売り場の片隅に小さなハロウィンコーナー
英語教室での子供向けイベント
仮装して街を歩く?そんな文化なかった!
そんな状況を、
森岡さんはどのように
大きなビジネスチャンスへと変えたのか。
本書では、
その具体的な戦略が
詳しく解説されています。
発想を逆転させる―森岡流マーケティングの神髄
本書で最も印象的なのが、
常識を覆す「発想の逆転」です。
森岡さんは、
当たり前だと思われていた考え方を、
いくつもの場面で
180度転換させています。
ターゲット設定での逆転の発想
本書の中で森岡さんは、
2011年の「ハロウィン・ホラー・ナイト」
立ち上げについて、
興味深い分析を示しています。
ハロウィンといえば
「子供向けイベント」という固定観念がある中、
あえて「働く大人の女性」を
メインターゲットに選定したのです。
なぜそのような選択をしたのか?
本書では、
その背景にあった緻密な分析が
詳しく語られています。
「日本の女性、特に働いている人は、
毎日ものすごくストレスが溜まっているはず。
でも、男性と違って、
ストレスを発散できる場所が少ない」
この「気づき」から生まれた
「思い切り叫んでストレス発散できる場所」
というコンセプト。
結果は大成功で、
わずか2ヶ月で40万人以上を動員し、
2015年10月には月間175万人
という驚異的な数字を達成したそうです。
集客戦略での逆転の発想
さらに興味深いのが、
集客戦略での発想の逆転です。
普通、集客に悩むテーマパークだったら、
こう考えるはずです。
「お客さんが少ない時期をなんとかしなければ」
「閑散期対策が必要だ」
「1〜2月の寒い時期や5〜6月の集客を増やさないと」
しかし、森岡さんは、
この当たり前の発想を完全に覆しました。
「そうじゃない。
すでにお客さんが多い10月を、
もっともっと伸ばそう!」
なぜ逆転の発想が効果的だったのか?
本書では、
この逆転の発想が成功した理由を、
以下のように説明しています。
「追い風」を利用する
気候が良い
イベントシーズン
お客さんが動きやすい
投資効果の最大化
すでに人が来ている時期には「理由」がある
その「理由」に新たな価値を加えることで、効果が倍増する
もう一つの逆転発想:クリスマスの改革
森岡さんの「発想の逆転」は、
クリスマス施策の改革でも見られます。
それまでのUSJのクリスマスCMは、
「昼は魔法の雪が降り、
夜はイルミネーションが輝く」という、
施設の特徴を説明するだけの内容でした。
しかし森岡さんは、
視点を180度転換。
施設の特徴ではなく、
お客様の心情に焦点を
当てることを考えました。
ターゲットを
「小さな子供連れファミリー」に定め、
親の心に深く響くメッセージを
届けることにしたのです。
「いつか君が大きくなって
クリスマスの魔法が解けてしまうまでに、
あと何回こんなクリスマスが過ごせるかな‥」
本書によれば、
このメッセージに変更しただけで、
施設は変わらずとも、
来場者数は前年の2倍以上になったそうです。
本書から学ぶ成功の法則
森岡さんは、
常識を覆す「発想の逆転」を実現するために、
以下の「3つの原則」を徹底していた
と語っています。
お客様の「本当の気持ち」を探る
表面的な要望だけでなく、心の奥にある願いを理解する
例:「ストレス発散したい」「子供との大切な時間を残したい」
既存の常識にとらわれず、本質を見極める
データで裏付けを取る
感覚だけに頼らない
市場調査やお客様の行動分析を徹底的に行う
逆転の発想も、しっかりとした根拠に基づいて行う
強みを伸ばす
弱点の改善より、強みをさらに強くする
すでに良い結果が出ている部分に集中投資する
当たり前を疑い、新しい可能性を見出す
驚くべき成果
本書で語られる
森岡さんの「発想の逆転」による戦略は、
USJに驚くべき成功をもたらしました。
その成果を具体的な数字で見てみましょう。
2011年:ハロウィン・ホラー・ナイト開始
わずか2ヶ月で40万人以上を動員
それまでにない斬新な企画として話題に
2015年:過去最高の成果を達成
10月の月間来場者数が175万人を記録
商圏人口でUSJの3倍を誇る東京ディズニーランドの月間来場者数を上回る
2013年以降は、
年間来場者数1,000万人を
突破し続けています。
経営危機に陥っていた企業が、
マーケティング戦略の転換により
高収益企業へと生まれ変わったのです。
こうした実績は、
本書で解説される「発想の逆転」と
「お客様の深層心理を理解し、
正しい戦略を立てる」
というアプローチの有効性を、
具体的に示す証といえるでしょう。
おわりに
いかがでしたか?
本書『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』
から学ぶマーケティングの極意、
参考になりましたでしょうか。
このハロウィンシーズン、
街に出てみると、
新しい発見があるかもしれません。
お菓子売り場のディスプレイ、
カフェのハロウィンメニュー、
雑貨店の装飾など。
それぞれのお店が、
どんなターゲットに、
どんな価値を提供しようとしているのか。
本書で学んだ
マーケティングの視点で見てみると、
当たり前だと思っていた景色の中に
新しいビジネスのヒントを
見つけることができるかもしれません。
それでは、また!