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資金調達|融資の返済ができないとどうなる?
融資の返済ができないとどうなる?
おはようございます!
税理士の大橋弘明です。
今回は「融資の返済ができないとどうなるの?」
というテーマについてお話しします。
起業後、資金を調達するために融資を
受けることはよくありますが、
「もし返済ができなくなったらどうしよう…?」
という不安を抱える方も少なくありません。
そこで、今回は、
日本政策金融公庫から
個人事業主が融資を受けた場合を例にして、
返済ができなくなるとどうなるかについて
解説したいと思います。
1. 早めに公庫に相談しよう
早めに公庫に相談しよう
融資の返済が厳しいと感じたときには、
返済ができなくなる前に
早めに公庫に相談することが重要です。
公庫は、事業を継続する意欲を見せる限り、
柔軟な対応をしてくれることが多いです。
相談が早ければ早いほど、
対応の選択肢も広がり、
最悪の事態を避けることができます。
具体的には、
事業の現状をしっかりと説明し、
今後の資金計画を一緒に見直すことで、
借換えやリスケジュールと
いった対策を取ることもできます。
借換え
現在の融資を新しい融資に置き換えることで、
有利な金利や有利な返済期間での
融資を得ることを目指すものです。
借換えを行うことにより
次のような点を改善できます。
・金利を低くできる
現在の融資の金利が高い場合、
金利が低い融資に借り換えることで、
利息の負担を軽減できます。
・返済期間を延長できる
新たな融資条件で、
返済期間を長く設定することが可能です。
1回あたりの返済額を減らすことができ、
資金繰りを改善させて、
事業の安定を図ることができます。
ただし、事業の状況や資産の状況などにより、
借換えが利用できない場合もあります。
リスケジュール(リスケ)とは?
リスケジュール、
略して「リスケ」とは、
既に決まっている返済条件を
見直し、変更することです。
返済が難しい場合、
金融機関とリスケ交渉し、
より現実的な返済計画に変更します。
具体的な返済条件の変更には
次のようなものがあります。
・返済期間の延長
返済期間を長く設定し、
1回あたりの返済額を減額することで、
毎月の返済負担を軽減し、
資金繰りを安定させます。
・一時的な返済猶予
一定期間、元本の返済を猶予し、
利息のみを支払う方法です。
これにより、事業が回復するまでの間、
資金繰りの改善が図れます。
リスケは、事業の現状や
将来の収益見込みに応じて
柔軟に対応できるため、
早期に相談することで、
最適なプランが提案されます。
リスケの注意点としては、
リスケの実施後は、
今後の新規融資や借換えを受けることが
基本的にできなくなりますので、
その点はご留意ください。
2. 返済できなくなった場合はどうなるの?
返済期限を過ぎると、
公庫から電話や書面で督促がされます。
さらに返済期限が過ぎると、
遅延損害金が発生することになります。
遅延損害金の割合は、年8.70%
(令和6年4月1日~令和7年3月31日)です。
元金の残額に対してこの利率で計算されるため、
負担が大きくなります。
督促を無視し続けると、
元金と利息をまとめて返済するように
一括払いの請求が行われます。
これにも応じない場合、
債権回収会社による回収が始まり、
最終的には、裁判を通じた法的手段が
取られる可能性があります。
強制執行や資産差し押さえなど、
深刻な結果を招くことになるため、
早めに対応することが必要です。
3. 最終的にどうなるの?
最終的に返済ができなくなった場合には、
任意整理、個人再生、自己破産などによる
対応が考えられます。
3つの手段について簡単に解説しますが、
どの方法を選ぶにしても、
弁護士に相談することをおすすめします。
任意整理
裁判所を介さずに交渉を行い、
金利の減額、返済期間の延長を目指す方法です。
金利のカットや返済条件の見直しを行い、
毎月の返済額を無理なく返済できる額に
調整してもらいます。
個人再生
裁判所を通じて借金を
大幅に減額(最大5分の1)し、
残りの債務を原則3〜5年間で返済する方法です。
自己破産と異なり、自宅などの財産を
保有したまま手続きを進めることができます。
個人再生を行うには安定した収入が必要です。
自己破産
返済が不可能な場合の最終手段です。
裁判所に申請して免責許可を受けることで、
借金の返済義務が免除されます。
一定の財産が裁判所の管理下で処分され、
公庫に分配されますが、
生活に必要な最低限の財産は保護されます。
まとめ:早めの対応が鍵!
融資の返済が厳しくなりそうなときには、
冷静に対応することが大切です。
公庫は事業を続ける意思がある限り
柔軟な対応をしてくれます。
早めに公庫に相談して
借換えやリスケジュールなどを行うことで、
最悪の事態を避けることもできます。
また、弁護士への相談も早めに行うことも、
将来の大きなリスクを防ぐ重要なポイントです。
【税理士事務所概要】
■事務所名
大橋弘明税理士事務所
■ウェブサイト
https://ohashitax.com
■住所
東京都中央区京橋2-7-14 ビュレックス京橋703
(東京メトロ銀座線 京橋駅すぐ)
■メールアドレス
ohashi@minato-acc.gr.jp
■主な著書
・「サラリーマンの副業の税金が全部わかる本」
・「起業・副業の資金調達支援ハンドブック」
■主な取材
・日経WOMAN令和5年9月号
・週刊SPA!令和4年3月15日号