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行動経済学|「ナッジ理論」にもとづく!無意識に購入してもらう仕組みづくり

「ナッジ理論」にもとづく!無意識に購入してもらう仕組みづくり

おはようございます。
税理士の大橋弘明です。

2008年にシカゴ大学の
リチャード・セイラー教授と
ハーバード大学の
キャス・サンスティーン教授が提唱し、
2017年にセイラー教授の
ノーベル経済学賞受賞にもつながった
「ナッジ(nudge)理論」。

この画期的な理論を
ビジネスに活用する方法をご紹介します。

あなたは今日、
何回の選択をしましたか?

コーヒーを飲むか紅茶を飲むか、
メールはすぐ返信するか後にするか、
ランチは何にするか。

実は私たち、
コーネル大学の研究によると、
1日になんと約35,000回もの
決断を下しているんです。

特に食事に関する決定だけでも
1日約2,200回。

その大半は、
無意識に行っている選択なんです。

なぜ「無意識の選択」が重要なの?

ビジネスオーナーとして、
この事実が
すごく重要なヒントになります。

なぜかというと、
お客様の購買決定の多くも、
実は瞬間的な判断で
行われているからなんです。

お店での買い物って、
実はじっくり考えて
決めているわけじゃないんです。

その場の雰囲気や、
商品の置き方、
POPの表示など、
お店の環境によって
大きく影響されています。

つまり、
「良い商品やサービス」を
用意するだけじゃ駄目なんです。

お客様の無意識の選択を
味方につける「仕組み」づくりが、
とても大切なんです。

「ナッジ理論」って何?優しく後押しする仕組みです

「ナッジ理論」って、
ちょっと難しそうに聞こえますよね。

でも実は、
「強制せずに、自然に望ましい行動を促す仕組み」
のことなんです。

お客様の行動を科学的に理解して、
小さな工夫で自然な後押しをする。

そんなアプローチです。

そのなかでも有名なのが
「デフォルト効果」。

これは、
人は事前に選択されている設定を
そのまま受け入れやすい傾向を
活用した方法です。

例えば:

  • 会員登録時に
    「おすすめ情報を受け取る」に
    チェックを入れておく

  • ファミレスでドリンクバー付きを
    標準メニューにする

  • 宅配の「お届け時間帯」を
    一番人気の時間帯に初期設定

こんな小さな工夫で、
お客様の選択に大きな影響を
与えることができるんです。

その他にも、
身近なところに
たくさんのナッジの仕組みが
使われています。

例えば、
無料体験やお試しキャンペーン、
モデルハウス見学なども効果的なナッジの一つ。

これは「一度使い始めると手放したくない」
「続けたくなる」という
私たちの心理を活用しているんです。

モデルハウスを見学したり、
試乗車に乗ったりすることで、
自然と愛着が生まれ、
欲しいという気持ちが
強くなっていくわけです。

実践的なナッジの例を見てみましょう

  1. 選択肢の見せ方を工夫する

    • おすすめプランは真ん中に

    • 3つのプランで比較しやすく

    • おためしプランを作る

  2. 目に入りやすい工夫をする

    • お客様の動きに合わせた商品配置

    • 見やすい高さを意識

    • Before/After写真で分かりやすく

  3. みんなの声を活用する

    • 「人気」「売れ筋」の表示

    • 実際のレビューを見せる

    • 購入履歴を上手に見せる

効果的なナッジの4つの条件(EAST)

イギリスの行動洞察チームは、
良いナッジの条件として
4つのポイントを挙げています。

頭文字を取って「EAST(イースト)」
フレームワークと呼ばれています。

  • Easy(簡単):分かりやすいこと
    シンプルで、誰でも理解できる工夫をする
    例:申し込みフォームを1ページに集約する。
      商品説明を3行以内にまとめる。

  • Attractive(魅力的):魅力的であること
    思わず「いいね!」と感じる工夫をする
    例:商品写真をプロが撮影する。
      パッケージを季節限定デザインにする。

  • Social(社会的):みんなに受け入れられること
    お客様の共感を得られる仕組みを意識する
    例:「人気No.1商品」の表示。
        「この商品を買った人はこれも買っています」の表示。

  • Timely(タイミング):タイミングが良いこと
    お客様の行動や気持ちに合わせたタイミングを選ぶ
    例:お昼時にランチのお知らせを配信。
      雨の日に傘の割引クーポンを配布。

明日から始められる!3つの簡単ステップ

Step1:お客様の行動を観察してみる

メモ帳やスマホに気づいたことを
サッと記録するだけでOKです。

チェックポイント:

  • どの商品を最初に手に取るか

  • どこで立ち止まって考えているか

  • どんな言葉に反応しているか

  • 商品を手に取ってから購入までの流れ

  • お客様同士の会話内容

Step2:できることから少しずつ変えてみる

実店舗の場合:

  • 一番売りたい商品を目線の高さに

  • おすすめ商品の表示を工夫

  • 商品を3つのグループに整理

  • 入口から商品までの動線を整理

  • 「人気商品」「売れ筋」のPOPを効果的に

ECサイトの場合:

  • 商品写真を大きく見やすく

  • 「お客様の声」を目立つ位置に

  • 送料無料を分かりやすく

  • おすすめ商品を上位に表示

  • 商品説明を読みやすく

Step3:効果をチェックしてみる

確認するポイント:

  • 売上は変わった?

  • お客様の反応はどう?

  • スタッフの感想は?

  • 1回の買い物金額は?

  • また来てくれるお客様は増えた?

良さそうなら続けて、
効果がいまいちなら、
他の方法を試してみましょう。

おわりに

すごい仕組みを
作る必要はないんです。

あなたのお店やサービスには、
すでに「選ばれる理由」があるはずです。

そこに今回ご紹介したような
小さな工夫を加えるだけで、
より多くのお客様に
自然と選んでいただけるようになります。

ただし、ここで一つ大切なことを。

ナッジ理論は、
あくまでもお客様の自然な選択を
やさしくサポートするもの。

お客様を騙したり、
不利益を与えるような使い方
(これは「スラッジ」と呼ばれています)は、
絶対にNGです。

繰り返しになりますが、
良いナッジの条件は、
「分かりやすいこと」
「魅力的であること」
「みんなに受け入れられること」
「タイミングが良いこと」です。

明日から、
あなたも「ナッジ理論」を取り入れて
小さな一歩を
踏み出してみませんか?

きっと素晴らしい変化が
待っているはずです。

それでは、また!

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