マーケティング|映画『はたらく細胞』から学ぶ!7つの成功戦略 〜興収41億円突破のメガヒットを生んだマーケティング〜
おはようございます!
税理士の大橋弘明です。
【公開24日間の実績】
累計動員:307万2159人
興行収入:41億2972万円
4週連続興行収入1位を獲得
最終興収60億円も視野に
『はたらく細胞』の快進撃が止まりません。
公開から24日間で興収41億円を突破し、
2024年冬映画No.1という驚異的な成績。
さらに注目すべきは、
リピート率の高さです。
「2回目の方がより
色んなシーンを理解できて号泣」
「3回も観るなんて、我ながらどうかと思うが、
毎回新たな発見がある」
といったSNSの声が示すように、
一度では満足できない
深い魅力を持つ作品となっています。
私自身も年末と年始に計2回、
この映画を鑑賞してきました。
2回目は4DXでの鑑賞を選択したのですが、
とても新鮮な体験でした。
体内を駆け巁る赤血球や、
白血球の迫力のあるアクションシーンが、
座席の動きと見事にシンクロ。
自分も体内を
巡っているような臨場感を味わえました。
通常版で物語を楽しみ、
4DX版で体感的な没入感を味わう。
このように異なる視点での
観賞体験ができることも、
多くのリピーターを生む要因と
なっているようです。
では、なぜ『はたらく細胞』は
ここまでの成功を収めたのでしょうか?
実は、この作品には7つの
重要な戦略が隠されています。
私なりの分析を
ご紹介していきましょう。
■なぜこれらの戦略が成功したのか
1.幅広いターゲット戦略
映画の成功で最も重要な
「誰に観てもらうか」という点で、
本作は非常に賢い選択をしています。
【ターゲット層の設定】
マンガ・アニメファン
→原作の世界観を忠実に再現することで、
コアなファンの期待に応える豪華キャストのファン
→各俳優の持ち味を活かした配役で、
それぞれのファン層を取り込みファミリー層
→親子で共感できるストーリー展開健康・医療に関心がある層
→体の仕組みを学べる教育的要素
特筆すべきは、
これらの層が互いに排他的でなく、
重なり合っている点です。
例えば、
親子で観に来た人が原作に興味を持ったり、
俳優ファンが作品の教育的価値に気づいたりと、
相乗効果を生んでいます。
2.戦略的キャスティング
本作の配役は、
単なる話題作りを超えた緻密な戦略に
基づいています。
【キャストの狙い】
▼佐藤健(白血球役)
『るろうに剣心』で証明された圧倒的なアクション演技力
30代を中心とした幅広い層からの支持
真摯な作品への取り組み姿勢による信頼感
▼永野芽郁(赤血球役)
10代、20代からの圧倒的支持
ドラマでの好感度の高さ
SNSでの強い影響力
▼芦田愛菜&阿部サダヲ(人間パート)
『マルモのおきて』から13年ぶりの親子共演
子役時代からの共演で生まれる自然な親子感
二人の演技力が感動シーンの説得力を高める
▼Fukase(SEKAI NO OWARI)
音楽ファンへのリーチ
意外性による話題性
新しい層の開拓
3.革新的な音楽戦略
音楽面での選択も、
本作の重要な成功要因です。
【音楽戦略の詳細】
▼Official髭男dismの起用
若者を中心とした強い影響力
SNSでの高い拡散力
「50%」という楽曲の世界観と映画との相性の良さ
ファン層の映画への誘導
注目したいのは、
楽曲のテーマと映画のメッセージ性が
見事にマッチしている点です。
体の中の細胞たちの懸命な働きと、
人間の成長を重ねて描く本作の世界観を、
楽曲が効果的に補強しています。
4.段階的なメディア展開
一気に実写化するのではなく、
時間をかけた丁寧なアプローチを採用しています。
【展開のタイムライン】
1.原作マンガでのファン獲得
コアなファン層の形成
作品の世界観の浸透
SNSでの話題性の確保
2.アニメ化による展開
全国的な認知度の向上
新規ファン層の開拓
作品の魅力の可視化
3.実写映画化
さらなる新規層の獲得
既存ファンの期待に応える
メディアミックスの完成
この段階的なアプローチにより、
各段階で着実にファン層を拡大。
実写化に至るまでに、
十分な認知度とファンベースを
築くことに成功しています。
5.教育的価値の提示
エンターテインメントとしての面白さだけでなく、
作品の持つ価値も重要な要素です。
【教育的要素】
▼医学・生物学的な学び
体の仕組みを視覚的に理解
細胞の役割の分かりやすい解説
専門家からの高い評価
▼健康への啓発
生活習慣の重要性の理解
予防医学的な視点の提供
体を大切にする意識の向上
▼家族でのコミュニケーション
共通の話題としての活用
健康について話し合うきっかけ
世代を超えた学びの共有
この「ためになる」要素が、
単なるエンターテインメント作品を
超えた価値を生み出しています。
6.圧倒的な映像戦略
実写化における映像表現も
本作の重要な成功要因です。
さらに4DX版では、
その魅力が倍増します!
【映像面での工夫】
▼アクションシーン
佐藤健を中心とした迫力の戦闘シーン
『るろうに剣心』を超える評価
VFXと実写の絶妙なバランス
4DXで体感する臨場感抜群の戦闘
▼世界観の構築
原作の雰囲気を損なわない細部への配慮
大規模なエキストラ起用
独特の衣装やメイク
4DXで体内世界を体感できる没入感
▼視覚効果
体内世界の効果的な表現
リアリティとファンタジーの調和
子供から大人まで楽しめる表現
4DXでより立体的に感じる世界観
7.継続的な話題作り
公開までの盛り上げ方も、
非常に計算された戦略となっています。
【話題化戦略】
▼情報解禁のタイミング
キャスト情報の段階的な公開
SNSでの拡散を意識した展開
期待感の継続的な醸成
▼メディア展開
テレビ、雑誌などでの露出
キャストによる積極的な宣伝
各メディアに合わせた情報提供
▼口コミの活用
試写会での評価の拡散
SNSでの自然な話題づくり
ファンコミュニティの活性化
■なぜこれらの戦略が成功したのか
本作の成功の秘訣は、
これら7つの戦略が見事に
連携し合っていることにあります。
例えば、
戦略的なキャスティングが話題を生む
その話題がSNSで自然に拡散される
拡散が新たな層の興味を喚起
教育的価値が作品の評価を更に高める
という具合に、
各要素が有機的につながっているのです。
■映画界への影響と今後の展望
この作品の成功は、
日本の映画界に大きな示唆を与えています。
原作の世界観を損なわずに実写化する可能性
教育的価値とエンターテインメント性の両立
多層的な訴求ポイントの重要性
今後は、この成功モデルを参考に、
様々な作品で新たな挑戦が
行われるかもしれません。
■おわりに
『はたらく細胞』の成功は、
決して偶然ではありません。
緻密な戦略と、
それを実現する高い実行力が
あってこその結果です。
この作品が教えてくれたのは、
「良い作品を作る」だけでなく、
「どうやってそれを届けるか」
という視点の重要性。
エンターテインメントとしての娯楽性と、
作品が持つ社会的な価値。
その両方を高いレベルで実現できた時、
作品は多くの人々の心を掴むことができるのです。
このように映画を観る時に
純粋に作品を楽しむだけでなく、
このような仕掛けにも
注目してみてはいかがでしょうか。
きっと、また違った視点で楽しみ方が
見つかるはずです。
それでは、またお会いしましょう!