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「うつろい」の誕生物語


朝9時半、山中漆器の工房に集まる6人の家族。私たちの朝礼では、時事の話題や感じたこと、新商品のアイデアを自由に語り合います。7年前、販売状況が思わしくなく、少し沈んだ空気が漂う中、ふとシルバーの塗装を試してみようという話が持ち上がりました。
試しに作られたシルバー塗装のカップ。吹付塗装で仕上げたその姿は、これまでの赤や黒、茶色とは全く違うクールな印象でした。しかし、それが受け入れられるかどうかは未知数。正直なところ、売れる保証は全くなかったのです。


即実行、そして変化

私たちのチームの特徴は、「思いついたらすぐ行動」。社長と私(明彦)は試作品を手に、朝礼で「どうだろう?」と意見を交わしました。その後、工房に訪れるお客様や取引先にも試作品を見せて意見を伺うようになり、「少し色を加えたらどう?」「形をシンプルにしてみては?」といったアドバイスが重なりました。こうして、少しずつ【うつろい】のカタチが形作られていったのです。

四季の風景を映す名前

完成したカップを見つめると、ふと周囲の風景が頭に浮かびました。私たちの工房を囲む田んぼと山の田園風景、そして四季折々の移ろいゆく自然。冬には1メートルを超える雪が降り積もるこの土地の風景や色彩が、そのカップに映し出されているようでした。「そうだ、この色彩の移ろいを名前に込めよう。」そうして【うつろい】という名が誕生しました。

そして、未来へ
完成した【うつろい】が市場でどのように受け入れられるのか。私たちの挑戦は始まったばかり。次回、この新商品の行方についてお話しします…。

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