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デルジのISSAY兄さんが亡くなっちゃってガチ凹み中


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大好きなISSAYを語ってみる

私は10代の頃に家出をしてあっちこっちフラフラした挙げ句、なぜかライブハウスに入り浸り、バンド業界の片隅で生きていた事があった。そんな黒歴史があるだけに、影響を受けたバンド・ミュージシャンは大勢いるのだが、その中でも特に思春期のさだお少年の心にグサグサっと刺さってくださったのが、デルジベットというバンドのISSAYだった。

今でこそビジュアル系の元祖的な呼ばれ方をするが、デルジベットはビジュアル系なんて単語は元より、それより前に使われていた耽美系・お化粧系・美学系なんて単語すらも定着していなかった時代から活動していた古参バンドである。

ビジュアル系でくくられるバンドって、容姿とその人の生き方が全くリンクしていなかったりするケースが多々あるんだけど、ISSAYという人は "デカダンス" という一点で全くブレなかった稀有な人物だ。

84年の結成、85年のデビュー時点でデルジベットのコンセプトはほぼ完成していたと言ってよく、「ISSAYという珍獣をいかに世間に伝えるか」が全てだったように思う。

で、そのISSAYというひとは、一言で現すなら「思春期を卒業できなかった青臭さの塊のようなひと」である。ビジュアル系バンドにありがちなお耽美な単語はあまり使わず、ISSAY兄さんが書く詞はとにかく青い。聞いてるこっちが恥ずかしくなるほど青い。

そんないつまでも青臭いISSAYという存在が、思春期に色々とこじらせてガチ病みした私の心にがっつりと爪痕を残してくださったのだ。

尾崎豊のようなド直球な歌を聞いても鼻で笑っちゃうけど、ISSAY兄さんのステージを見ると泣けてくる。我ながらどうかしてるんだと思うが、同じような病みを抱えた人間にしか分からない共通言語があるんですよ……。

確か音楽ライターの市川哲史氏だったと思うけど、ISSAY兄さんに対して「自分と無関係に世界が回ることに気付いちゃったひと」的な表現をしていた覚えがある。さすが市川氏。これ以上ないISSAY評である。

そんなデルジの何が凄いって、このデビュー曲の『待つ歌』で、ISSAYという人間の殆どを歌い尽くしちゃってるという出オチっぷり。これは85年に発表されたものなので、実に約40年前の楽曲なのだが、ISSAYというひとはその後のキャリアを通して「ここから一歩も動いていない」ような気がする。

市川氏のISSAY評にも通じるところがあるが、まさに人生そのものが『待つ歌』の歌詞そのものだったと言っていい。

ISSAYの書く詞の特徴は、空虚感、孤独感、閉塞感、無力感といった、思春期に誰もがぶち当たる壁をそのまま言葉にしている点だと思う。

「気がついたらひとりぼっちでここにいた」
「みんなが自分を無視して通り過ぎて行く」

こんな言葉をストレートに歌詞にしてしまうのだから、いわゆるメッセージ色の強いタイプのシンガーだと思うかもしれない。

ところが、ISSAY兄さんは自分の内面を歌っているはずなのに、どこか現実離れしていて、他人事のようになってしまうことが多々ある。自分のことなのに客観の視点でしか見られない的な。

そういうイビツさがあの世とこの世の狭間にいる世捨て人かのようだった。

何と言えばいいのか悩むところだが、人前に出る仕事をしているのに、何故かガチ引き篭もり特有の空気感をまとっていた。筋金入りの病んだ引き篭もりじゃないとこの表現は出て来ないだろ的な歌詞が山ほどあるのだ。

こういう厄介なひとをヴォーカルに据えて、その周囲を凄腕の楽器職人達が固めるというのがデルジベットというバンドだった。デルジベットはその時代ごとに呼ばれ方がコロコロ変わり、ある時はデカダンスバンドと呼ばれてみたり、そうかと思うと卓越した演奏力から轟音系なんて言われていた事もあるし、当然ビジュアル系の元祖と呼んでもウソではない。

だが、デルジのコンセプトは「ISSAYを世に出そう」であり、その "出し方" については何でも良かったのではないだろうか。

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