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23区東部の開拓を決意したそばから小岩に大歓待を受けた件(木村家/小岩/居酒屋)

生まれ育った愛する板橋区から墨田区に引っ越して以来、私はいつも思っていた。「23区の東部って全然土地勘がねえ……」と。

何年か前に書いた東京23区の商店街をテーマにした本の取材で、東部地域も金町・亀有・篠崎・小岩・新小岩……と数えるのも嫌なくらい何か所も歩き回ったが、飲み歩きや気楽な散歩という形で 「無責任に街を楽しむ」事は殆ど無かった。

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やっぱ、締め切りだの仕事に対する責任感だの、そういうのをヌキにしないと、その街を心の底から楽しむ事って出来ないじゃん。

という訳で、せっかく総武線ユーザーになった事だし、近い内に小岩エリアくらいは開拓したいなと考えていたのでござる。

そんなある日、仕事の都合であっちこっち回るハメになり、最終的に小岩駅前で解放された。
どうしてそんな対立中の暴走族に拉致監禁されてボコられた挙句に捨てられる的な扱いを受けたのかよく分からないのだが、気付けば18時過ぎたくらいの ”飲み頃” な時間帯に小岩駅前に放り出されたのである。

せっかくなので、以前商店街取材の際には立ち入らなかったエリアを攻めてみようと散策を開始するなり、いきなり 「大当たりオーラ」 をプンプン漂わすお店を発見。

後からこの店が地元民に愛されまくっている有名店である事を知ったが、この佇まいから 「だろうなあ」 という匂いが伝わって来る。やっぱねえ、サラリーマンのオッサン達が占拠してる店にハズレなんかないって。

という訳で、着席と同時にもつ煮込みとウーロンハイをオーダー。お酒はチューハイやレモンハイが280円とお値打ち。ウーロンハイは330円と何故か50円高いが、それでもまだまだ安い。ビールは大瓶が520円とガマンどころ。

これは初めての店に行った時のコツなんだけど、この手の店って常連客と店の大将とのあうんの呼吸で成り立ってるケースが多々あるので、まず流れを乱さないことが大事。

では、どうすれば酒場の空気を乱さず済むかと言うと、とにかくとっとと席について、酒のファーストオーダーを済ませることである。それと同時に、酒のアテになるスピードメニューを1品くらい頼めると完璧。

今回は席に着くまでの間に、おっちゃん達がウーロンハイらしき物を飲んでいることを確認。壁のメニューにもつ煮の文字が見えたので、鉄板だろうとそれを頼んだ次第。

で、これらをチビチビやりながら、他にどんなメニューがあるのかなと探りを入れるのである。こうすると店の流れを邪魔する事なく、しれ~っと店内の空気に溶け込む事が出来るのだ。

ファーストオーダーでメニューをガン見して「ええと~~」はダメ、ゼッタイ!

余談だが、たまに生ビール置いてないとか、逆に瓶ビール置いてないとか、ホッピーやってない(これは意外と多い)なんて店があるので、〇〇ハイや〇〇サワーの方が確実性が高かったりする。

さて、ひとまず無事にファーストオーダーをクリアしたオレ様は、壁にベタベタ貼られたメニューをガン見。
気の良さそうなオッチャン客に挟まれてたので、話しかけてオススメを聞き出そうかとも思ったのだが、あいにく両方とも連れとの会話に夢中だったので断念。今回は自力で当たりを引くしかなさそう。

で、この写真に注目して欲しいのだが、ここって多分もつ焼きが主力の酒場なのね?
なのにメニューの中心に「レバニラ炒め・肉ニラ炒め・とんかつ・串カツ・オムレツ……」と冗談のような文字列が躍っている。

これは実はクソハズレする確率も高いんだけど、この店は満席状態で賑わっており、であるなら逆に大当たり確定である。
おそらく、店の大将が街中華の経験があるとか、モツ焼きだけじゃなく普通に料理が上手だって話だと思われる。

もつ焼きは盛り合わせになっており、5本で400円とお勉強価格。1本ずつ部位が違っているので、これ1皿でかなり楽しめる。

今回は塩で頼んだが、焼き具合、食感、味付けが「これこれ」 という具合に決まっていたので、ここならタレで頼んでも相当美味しかったに違いない。

追加オーダーした厚揚げは、一度開いて中に刻んだネギなどの薬味を挟むタイプ。これが想像したよりも美味しかった。
うむ、やはりこの店は女房と一緒に来なければならん。
1人分の胃袋では探索しきれん。


と、あまりに気分が良くなり、テンション上がってもう一軒行くかと思ったのだが、どんな店がいいか探してフラついている間に、ふと「そういえば小岩はパチンコが強いって話を聞いたことがあるぞ」と、ロクでもない考えが頭をよぎった。

結果、駅周りの大きな店に吸い込まれ、甘デジコーナーで「千円だけ……千円だけ……」と言い訳しつつサンドにお札投入。

選んだ台は、大当たり確率130分の1くらいの甘デジひぐらし。

するとどうでしょう、1回転目で強めの演出が発生。近頃の台は、しばらく回さないでいると1回転目にそこそこの演出が出て煽る仕様になっている(当然ガセる)ため、これもその手のガセ煽りだろうと思っていたら、煽りの割には強すぎるような。

あるぇ~?と様子を伺っていると、熱めの演出を長々見せられた挙句のハズレ。「ですよね~、でもアイドリング明けの煽でこんな熱いの出るっけ?」と思った瞬間、画面暗転からのレナの「嘘だ!!!」復活で大当たり。

文字通りのお座り1発がさく裂した挙句に確変もゲット。
すると今度は連チャンが止まらなくなり……

1万発吐き出して、まだまだ出続ける甘デジひぐらし。圭一が鉈を持って追いかけて来るレナから逃げ続ければ確変継続という仕様なのだが、とにかくマヌケなレナ、シャア並に逃走力を見せる圭一。止まらないコンプレックス・イマージュ。
最終的に甘デジに500円分の玉を入れただけなのに、5万円もお小遣いを貰える謎展開。

小岩、とてもいい街だなあ……。


[店名] 木村家
[住所] 東京都江戸川区南小岩6-31-5
[TEL] 03-3672-5297
[営業時間] 16:00~24:00
[定休日] 日曜

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「商店街の衰退は街の格差を生む。繁盛している商店街は住民の教養が高い。では、商店街が廃れた地域の住民は…?」
板橋区の旧宿場町の商店街出身の私が、東京23区の主だった殆どすべての商店街と、商店街を中心とした生活動線を歩いて回り、その結果を1冊の本にまとめました。
滅びゆく存在となってしまっている商店街こそ、「誰もが豊かに」という日本の文化レベルの高さを底支えしている存在だったのです。

皆様からの金銭サポートがあると、子育てに追われる哀れなオッサンの生活がいくらか楽になると思わせておいて、息子の玩具やお菓子や遊園地代で殆ど溶けます。