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板橋生まれのオレ様にとってソウルフードといえばココ(福しん/浅草/中華)
街中華系のチェーン店というと、おそらく東京では餃子の王将、日高屋、幸楽苑などが有名どころだろう。
だが、板橋~池袋界隈を根城にしていた私にとって、その手のチェーン店といえば代表格は福しんである。
なんせ私の故郷である板橋区大山は、商店街の中に福しんが3軒も4軒もあったという、謎の福しん過密地帯だったのである。
地元トークで申し訳ないが、今でこそ大山には駅にほど近い吉野家の向かいにある一軒しか残っていないが、昔はハッピーロードの川越街道寄りに1軒、文化会館のすぐ近くに1軒、東上線の踏み切り寄りの、ちょっと前までいっこくというラーメン屋が入っていたテナント(だったはず)に1軒と、大山駅を取り囲む結界のように福しんが配置されていた。
ただ、私も記憶があやふやで、全ての店が同時に営業していたのではなく、ちょこちょこと移転→再オープンを繰り返していただけだったような気もする……。
現存している店と、文化会館近くの店と、川越街道側の店の3軒が同時にやっていたのは間違いないが、後にいっこくが入るテナントにあった福しんは、文化会館近くに移転したんだっけかな。
何はともあれ、当時はまだ王将なんかが幅を利かす前だったので、私にとってチェーン系の街中華といえば福しん一択だったのだ。
何で突然こんな福しんトークを始めたのかというと、たまたま浅草をほっつき歩いていたところ、六区で福しんを発見してしまい、テンションがうなぎのぼりになったからである。
愛する板橋を出て両国に引っ越して以来、福しんなんか近くに無いもんだからすっかりご無沙汰してしまっていたのだが、不意打ちで見付けちゃうとフラフラっと吸い込まれるよねえ。
久々福しんとなったら、そりゃ頼む物はB定だよね。
B定、すなわちB定食。
シンプルラーメンに半炒飯と漬物。
これを注文するとアジア系の店員さんが揃って判を押したようなイントネーションで「ビーテーイチョーー」とオーダーを通してくれる、そんなB定。
ところが、メニューを見たら今はもうB定って名称じゃなくなっていた。
え~~~~~~~。
ちなみに、A定がレバニラ炒めの定食で、B定がこのラーメンと半炒飯のセットだったんだが、そもそもこの定食という表記を止めちゃったみたい。旧A定も普通に「レバニラ炒めセット」みたいな書き方になっていた。
ちょっと悲しい。
それはそうと、福しんは実は店ごと(というか料理人ごと)に味にばらつきがあって、A店では絶品なのにB店で食べたらそれほどでも……といった事が多々あった。私個人の好みでは、昔池袋の北口にあった福しんが理想的な味だったと記憶している。
大山の福しんは激戦区だけあってどこも平均的に旨く、後は池袋要町の福しんも悪くなかった記憶がある。
特に味に差が出るのが炒飯で、これはもう昔から上手下手がハッキリ分かれていた。対してラーメンやタンメンは比較的ばらつきが少なく、初めて入る店の場合は炒飯ではなくラーメンと餃子を中心に組み立てた方が無難。(ただこれは昔の記憶なので今現在どうかは分かりません)
そういえば、餃子といえば今は1皿200円でやってるようだけど、昔は今よりちょっと小ぶりの餃子を100円で出してなかったっけ?
大山にはその昔餃子の満州もあって、どっちに入るか悩んだ記憶があるんだよなあ。満州も満州で素晴らしい店なんだよなあ……。
と、なんかもう久々に福しんでB定を食べられた喜びで記事の内容が取っ散らかっているが、私にとって福しんとはこれほどまでに平常心を失わせる存在なのである。LOVE福しん。
ちなみに、福しんの醤油ラーメンは390円という価格ながらバカに出来ないクオリティ。無難な中華スープとちぢれ麺という組み合わせだと思わせておいて、スープからほんのり中華スパイス(たぶん八角)の香りがしたり、細かいところで憎い責め方をしてくるのが福しんの特徴。
この価格帯で、ここまで全メニューの味が整っているチェーン店って、中々ないと思う。
あ、上の写真を見ててまた余計な事を思い出しちゃった。福しんのラーメンって、昔はカイワレ大根が乗ってなかったっけ?
あれ~~~、なんか色々と記憶と違う部分があるけど、そりゃ10年近くもご無沙汰してれば変化もあるわなあ。
[店名] 福しん 浅草ROX前店
[住所] 東京都台東区浅草1-24-9
[TEL] 03-3841-3700
[営業時間] 10:00~03:00
[定休日] 年末年始以外は無休
[備考] ド観光地で何をするにも金がかかる浅草にあって、ここはいわゆる福しん価格で安心安全。さらに、浅草は実は夜型の店が少ないのだが、ここは夜中までやっててくれる嬉しい存在。
生ビール中ジョッキと餃子1皿(6個)で500円など、妙にお得なセットもあるので、ハシゴ酒の途中で寄るなんて使い方も可能である。
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