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"あのビリビリ"を味わいたいならココが鉄板!(粒粒香/四川料理/板橋)
板橋には過去、ビリビリ系の担々麺ブームを巻き起こした「栄児家庭料理」という名店があった。最寄り駅もない住宅と公園と花園高校しかないような酷い立地だったが、その刺激的な味にヤラれてリピーターが大増殖し、気付いたら板橋区を飛び出して大ブームになってしまっていたのだ。
栄児は本郷や池袋に支店を出し、多店舗経営に乗り出したのだが、残念ながら板橋の本店は閉店してしまった。
「なんだよ、板橋じゃもうあの味が食えないのか」と思っていた2017年のある日、今回ご紹介する粒粒香がオープンしたのである。
で、この店の料理長は栄児の "一番いい時代” に働いてた方で、華やかで刺激的でそれでいて凶悪な "あのラー油" をさらに進化させ、板橋の地に舞い戻って来てくれたのだ。
初めてこの店を訪れた際は、板橋区のエスニックの女帝、とにかく酒と米を愛する女こと、ロザリーが案内してくれた。刺激物に関しては板橋随一であるだけに、すでに彼女のお手付きになっており、「さだお!ここマジやばいから!栄児の一番いい時の味より上かもしれんぞ!」と、安酒を握り締めながら大興奮。よし落ち着け。
で、そんな刺激物処理班であるロザリーがオススメして来たのが人参サラダ。上の写真は、オレが大好きな干豆腐のサラダと合い盛りになった物なのだが、ぶっちゃけもうコレだけで大満足。
だってな、粒粒香ご自慢の自家製ラー油がかけられた人参がとにかく鮮やかなの。旨いとか辛いとかしょっぱい甘いじゃなく鮮やか。目の前がパ~~っと明るくなる。
まさか口の中に放り込んでモグモグやってるだけなのに視覚を刺激されるとは思わなかった。
それと舌休めになる干豆腐との相性がまた素晴らしく、これと紹興酒のロックでもあれば永遠に呑んでいられるのではなかろうか。
ラー油を味わうという意味では、この水餃子を忘れちゃならねえ。モチっとチュルっとした皮に、ラー油が引き立つようなオーソドックスな餡。これにたっぷりとラー油をかけていただくのだが、恐ろしいのがこの店ではこの水餃子が「サービスで勝手に出て来る」ということ。
いや、このクオリティを考えたら400円くらい取っても「安いね!」と感動されると思うんだが、何故かタダで出してしまう。理由を聞いてみたら「ランチサービスでタダで付けてるのよ。だから夜もサービスするの」と意味不明の返答が。
よくよく聞いてみると、ランチでは水餃子が「食べ放題」なんですって。担々麺とか麻婆豆腐を頼むと、水餃子が好きなだけ食えるというシステム。
だから、夜のお客さんにも1皿だけサービスで出してるんだとか。
うん、まだなんか納得いかない……。
心遣いは有り難いんだけど、これだけのクオリティの物をタダで振舞って貰っては罪悪感を感じてしまう。
という訳でさあ、この店に来るといつもいつも注文し過ぎるんだよお。酒もカパカパ飲んじゃうしなあ。完全に店の作戦にコロっとヤラれている気がする。
で、当たり前の話ですが、この店の麻婆豆腐や担々麺は、それはそれは美味しいです。美味しいんです……が、それ以外の料理も(中華の割にはメニュー数を絞っているけど)どれも美味で、〆メニューに辿り着けずに帰ることもしばしば。
それもこれも、やっぱりタダで出て来る水餃子なのよ。アレが地味に重たいの。それで家族3人で行っても〆が1つしか食べられなかったりするの。
挙句に息子が辛い物を食べられないから、仕方なくシンプルな鶏スープのラーメンを頼むでしょう。それがすっごい旨いの。息子そっちのけでがっついちゃうの。するとどのみち担々麺が入る余地がないっていう。
それで少し経つと「あ~~担々麺も麻婆豆腐も食べられなかったなあ」と思い出してまた行ってしまうの。
ク、やはりコレも店の作戦なんだろうか……。
[店名] 粒粒香
[住所] 東京都板橋区板橋1-46-8
[TEL] 03-3963-1426
[営業時間] 11:00~15:00 17:00~23:00
[定休日] 月曜日
[備考] JR埼京線・板橋駅、都営三田線・新板橋駅から徒歩2~3分
とにかく自家製ラー油を味わうべし。麻婆豆腐や担々麺じゃなくていいの、とにかく何らかの形でラー油を味わって欲しいの。【ラー油>>>>担々麺=麻婆豆腐】という優先順位とお考え下さい。
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[執筆者]
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◇グルメライター・刈部山本(「マツコの知らない世界」出演)が紹介する「板橋グルメの世界」
◇暗渠マニア・髙山英男&吉村生(『暗渠マニアック! 』柏書房)による「見えない川を探す旅」
◇境界協会主宰・小林政能(「ブラタモリ」「タモリ倶楽部」等に出演)による「区界探検・東西南北」
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