理想の恋人
完璧な美しい女性の顔と体を持った元男性が、私の理想の恋人です。
男の仕草を少しも感じさせず、どこまでも女性の所作。
肩幅と腰のバランスが、寸分も女性と変わりありません。
声は、どこまでも透き通るような女性の声。
男だった痕跡は微塵もありません。
でも、生まれた時は、男の子。
きちんと必要な処置を施された躰は、どこから見ても美しい女性そのもの。
それが、私の心からの欲した恋人でした。
今、ステージで着飾った華麗なロングドレスを身にまとい、ハイトーンの声で歌う彼女。
実は子供の頃に性転換した元男性だった。
それが、誰も知らない私だけの秘密です。
彼は、大変な資産家の息子として生を受けました。
父親は既に他界していました。
経済的に何の不自由なく育ったのですが、物心ついた頃から自分の性に不満を持っていました。
4歳年上の姉がいました。弟を心から可愛がっていました。
弟は何でも姉に相談しました。
弟の性に対する憧れと希望を母親にすべて伝えていました。
母親もまた早くから薄々気づいており、姉に弟の性癖を伝えるように言っていたのです。
姉のお下がりの洋服を隠れて着始めたのが最初だったようです。
母親も弟が娘だったらと思っていたところ、正直よかったと心の底から思いました。
ある日、真っ直ぐに息子の目を見て言いました。
「隠すことはないのよ。なんでもあなたの希望を叶えてあげますから。」
広大なお屋敷の中では、真樹の望むような洋服が与えられました。
母親の希望により、大人びた女性の衣装も着るように促されました。
ただ、髪を長く伸ばすことは控えなければなりませんでした。その代わり、ウイッグを何種類も揃えることができました。
その日が来た時、存分に伸ばしなさいと言い含められました。
同時に、家の外では決して許されることではないことを繰り返します。幼心に意識させました。
背の高さよりも遥かに高く大きな鏡が邸宅の隅々に付けられていました。
1日中、女の子の衣装が日常になり、鏡に映る自分の姿を気にしない時が一瞬もありませんでした。
姉とおままごとをすることも極々自然な出来事でした。
外出する時だけは、パンティーまで着替えて必ず男の子の格好をさせられたのでした。
お手伝いさんには、口の固い厳選された住み込みの女性が真樹の世話をしておりました。
その美しく整った顔立ちが可愛くてしかたがありません。
大人びた衣装に包まれた真樹の姿に惚れ惚れとしていました。
小学4年ころから、ハレの日には必ず豪華なロングドレスが用意されました。
子供っぽさなど微塵もなく荘厳な雰囲気さえ漂いました。
真樹は、大きな鏡に映る自分の姿に驚き、決して失いたくない姿だと思いました。
身に纏い記念写真を皆で撮りました。
正月には、目の覚めるような鮮やかな晴着を身につけました。
膨大な記録が美しい写真として保存されました。
いつの日にか必ず男の子から女に子に変わるのだといつも願っていました。
小学校では、そんな素振りを見せないようにしたのですが、どこかしら所作をからかわれてしまいます。
母親は、その気配を感じ取り、からかわれるたびに転校を繰り返しました。
そういった子どもたちに理解のある小学校の存在を知った母親は、迷わずその 小中高一貫校に入学させました。
その学校では、小学校の高学年からの女性ホルモンの投与が行う親が珍しくありませんでした。
その環境下では、真樹は普通に美しい男の子になりました。
真樹は、制服に迷わずスカートを身に着け始めました。
学校では、常に美しく優雅であることが尊ばれました。
下品に逸脱する生徒は、学校にふさわしくないとされ、通学を禁止されました。
学校の方針では、望めば自分の性ホルモンの状態を検査してもらい、直属の医師から適切な女性ホルモンが与えられました。
それでも、真樹は声変わりして喉仏ができることをとても恐れていました。
母親と本人の希望が尊重され、医師との間で適切なアドバイスと処置が示されました。
去勢を勧められました。
何の恐れもありませんでした。母親もまた、去勢する生理的なメリットを強調していました。
母親は、むしろ真樹が性転換をすることを望んでいたのです。
可能なら陰茎も取り除きたかったのです。が、医師からもう少し成長を待ちましょうと言われました。
母親は、真樹が女性経験を持たないまま、知らぬままに、童貞のままに、陰茎から膣を造られることが夢だったらしいのです。
去勢はいとも簡単に済みました。
声変わりすることなく、中学になっても肩幅が広くなることもなく、乳線が発達しブラジャーを付けなくてはならないほどになりました。
腰回りも大きくなりました。
真樹は、素晴らしい女性の曲線を持つことになったのです。
女性を知らぬままに陰茎を取り除き、膣を造り、処女を失ったのは、ようやく18歳になったばかりでした。
彼女の母を抱きしめた頃に、同時に真樹も私の恋人になったのです。
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