御姿の前に
清潔でなければならないのは、もちろんですが、重要なことは、フォーマルな雰囲気です。
場所も、薄汚いところではいけません。
広く、狭いところでもいけません。
冠婚葬祭や儀式ばった時の肩苦しさがよろしいのです。
但し、伝統的であることなど必要ありません。
あくまでも清潔感がありフォーマルな雰囲気が大事なのです。必須なのです。
気取りながら、いやらしくも決して下品であってはならないのです。
微塵の薄っぺらさがあってはなりません。
言葉遣いも常に丁寧でなければなりません。
内容はもちろん生理の赴くままで一向に差し支えありません。
裸よりも着衣が好ましいのです。
頭から爪先まで内部に繫がる場所はすべて綺麗で清潔でなければなりません。
無駄な脂肪があっても、無理やりでもきちんと抑えつけるようなコルセットを身に着けていれば問題ありません。
容姿が無様であれば、表に出さぬようにマスクを常時着けなければなりません。
余りに見事なボールガウンの御姿に常にひれ伏さなければなりません。
神々しいフォーマルなドレスを身にした御姿の前に目を伏せてしまうでしょう。
時に、格式を醸し出す留袖の御姿が余りに自然なのです。
それに御姿のみならず言葉なしに気品と知性が満ち溢れているのです。
そして、シルクの光沢を発する純白のオペラグローブの御手の前に打ち震えるのです。
御足に触れるのは許される行為ではありません。
ただ仰ぎ見るお許しを頂けるだけで果ててしまうのもしれません。
ときめきに震える感動が押し寄せてきます。
死と引き換えになると言われても迷いなくこの喜びの中に本当の自分を見つけることでしょう。
はちきればかりであっても、理性と貞操具がきちんと戒めております。
崇め命じられる瞬間にこそ、わたくしめが存在するのであり、それは陽炎のように儚いのです。
だからこそ、満たされるのです。
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