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誰そ彼

11月の夕暮れは空気が澄み始める。

透ける空のグラデーションを眺めていると、

昔の人が心から神仏の存在を

信じていたのがわかる。

今は街灯や車のライトがあって、

少しは見えるけど、

黄昏時は

映画「君の名は」でも出てきた通り
出会う姿を見ても誰だかよくわからなくなる

「誰そ彼」時、なんだろうな。

と、

街灯が少なくて、農地に挟まれた
高知の大きい道の歩道を

歩きながら思った。


私がよそから来た人間だから、
私にとってはこの土地の全てが当たり前ではないから、
ここがこんなにも好きになってしまったんだろうと

ふと思う。


この空の広さと
透き通る黄昏れの色の美しさに

人間の力が及ばない
大きい自然の理を感じる。


同じ黄昏の空を
ふるさとの埼玉でも
場所によっては見れるとも思う。

子どもの頃、
秋の空は昼間でも澄んでいた記憶がある。


それでも私の視界の端から端までただの空、
黄昏れのここの空が
私にとっては今一番特別に好き。

「あなたは誰?」




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