八甲田山のパウダースノー
YouTubeで「八甲田山雪中行軍遭難事件」の動画をラジオがわりに聴いていて
「パウダースノーの雪原は踏み込みにくく、隊列は雪をかき分け顔だけ出して進んでいた」
ということを知り、
3歳から雪の積もらぬ高知平野に住み、
そもそも雪原の記憶がない
小学生の下の子に教えると
「それ知ってる。マイクラでやってた。パウダースノーだと全然歩けないって」
とまさかの返事が返ってきた。
マイクラやってると岩石などに強くなるとは聞いていたが、
結構有益性が高いのは本当らしい。
(ちなみにうちにはswitchはないので、
ゲーム実況で知ってるだけなのだが…)
埼玉の雪はボタ雪が主流なので、
パウダースノーが積もる感覚なぞ私も知らない。
岩手県北育ちの母は知っていたかもしれない。
体育でスキー、凍った池で下駄スケートをしていたらしいので。
埼玉は降る時は降る。積もる時は15センチくらいは珍しくない。
でも、雪国ではないので道路の除雪機能が公的にはない。
そんな中で毎日のように車を運転していた母(専業主婦)は、ずっとノーマルタイヤだった。
雪の積もらない高知県の平野部の人たちはノーマル主流なので先年の積雪15センチで交通麻痺が起こっていた。
もちろん危険なときは車を出さなかっただろうけど、
母は高台の実家からいつもちゃんと行って帰って来た。
亡くなる前の師走の数日間で母の枕元で一緒に話したときに、
雪の話になった。
「ずっと子どもの頃、雪道を歩いたり自転車で走ったりしてたから、車に乗ってても、ちゃんと雪の感覚がわかるのよ」
そう言っていた。
本当だろうか。
たまたま運良く事故に合わなかっただけではないかしら。わからない。
私は雪国生まれではないので、
その感覚はないので雪の日にノーマルタイヤでは出ていけない。
雪の季節に
母のふるさとを訪れることもきっと出来ないだろう。
雪国で生きるには精神的強さと経験的慎重さと雪に育まれた身体能力が必要なんだろう。
そんな気がする。
遭難した連隊の指揮官は
雪の怖さを知らない育ちだったのか。
強風が恐ろしい音を立てて私の町に吹いている。
雪こそないが、八甲田山の吹雪の咆哮も、きっとこんな音だったのかと、
聴いている。