【サイドストーリー的な特集ページ④ 広沢里枝子編】
連載は無事、完結することができました。今回の特集ページは、広沢里枝子さんから読者の皆さまへ、感謝を込めたメッセージです。
「おはなしのアルバム」をnoteでお読みくださったあなたへ
「あきとまさきのおはなしのアルバム」をnoteでお読みいただきまして、本当にありがとうございました。
「おはなしのアルバム 第4集」を発行してから、およそ33年後の広沢里枝子です。おかげさまで私は、何度かの試練を越えて、今も元気に盲導犬と歩いています。息子たちは、それぞれに伴侶に恵まれて独立し、父親になりました。
再録の構想
「おはなしのアルバム」のnoteへの再録は、今回も学生時代からの親友、神山朝子さんの力強い提案と惜しみない協力によって実現しました。
今から1か月前。私は、朝子さんから次のようなメールをもらいました。
《「おはなしのアルバム」は、里枝ちゃんと私の共同作業として、
どこに出しても恥ずかしくない完成された作品だと思っています。
そして、30数年という月日が経過しても色褪せない魅力があります。
普遍性と個性があります。
この作品を、1冊の本として出版する…
あるいは、里枝ちゃんの声で再録音する…
続きを編集する…
などの構想が今まであったけれども、
実現には至りませんでした。(中略)
さて、では、私が1人でもできることで、
今後に希望を残す取り組みが何かできるのだろうか…
と考えた時に、
行き着いたのが、noteというプラットホームです。》
この提案を読んで、私はすぐに
《なんと嬉しい提案でしょう!はい。賛成です!》
と返事を返しました。朝子さんと私の共同作業は、決まってこんなノリで
意気揚々とスタートするのです。
パソコンの盲人用システムを使って
私たちは、4冊の原本からスキャンしたデータをすでに持っていました。朝子さんは、これをすべて見直して、編集しなおし、細部まで校正し、子供たちの絵やその解説文を添えてnoteにアップするという、中心的な作業を引き受けてくれました。
私は、朝子さんが校正してくれたすべてのデータをパソコンの盲人用システムを使って、音声を聞きながら一文字ずつ確認し、自分が最も適切と思う漢字や仮名を選んで書きました。
子供たちの言葉は、点字の分かち書きの規則に準じて、文節分かち書きをしました。
バリアフリーの会話集
これまで全盲の私は、活字の会話集も、点字の会話集も、音声の会話集も、自分で一文字ずつ確認したり、直したりすることが一切できませんでした。
ところが、このnoteというプラットホームでは、全盲でも自分の書きたい文字で自由に書けて、読めて、直せるのです。
こうして「おはなしのアルバム」は、障害のない方にも、障害のある方にも隔てなく読んでいただけるバリアフリーの会話集として蘇りました。
私にとって、幼い息子たちの声をありありと思い出しながら再録する作業は、この上なく幸福な時間でした。いつまでも続けていたいくらいでしたが…
あなたに出会えてよかった
今、友と一緒にこの共同作業をやり遂げて、読者の皆様に受け取っていただけますことは、久しぶりにわくわくするような新たな喜びです。
私たちの素朴な会話集をお読みくださったあなたに、心から感謝します。
あなたに出会えてよかったです!
そして朝ちゃん、いつもありがとう。変わらぬ友情に乾杯!