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もし君を一途に愛していたならば… Ⅶ

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勇也とは、転校以来全く会っていなかった。
LINEも、あの後返信できていない。
返す言葉が全く持って見つからなかった。
そして、2度目の再会を果たした。

私はその頃、何だか分からないけど”行きつけ”と言う物を異様に求めていた。
だから雰囲気のいいカフェや、バーを捜して毎夜さまよった。

1か月ほど探して行きついたカフェが、[Café‣Grandeur]だった。
中に入ってみると、木造の店内だからか、優しい雰囲気に包まれた。
「いい感じかも」
心の中で呟くと、店員さんがやってきた。
制服がとてもおしゃれだった。

「1名様でよろしいでしょうか」
「あ、はい」
「すぐにご案内いたします」

その店は穴場なのか、とても空いていた。
私は一瞬でこの店のとりこになった。

メニューを見てみると、おしゃれな横文字が並んでいる。
うわあ、すごい。私の理想とぴったり。
そう思って店員さんを呼んだ。

「お待たせいたしまし…た。」

少し間の空いた挨拶に違和感を覚えて、店員さんの顔を見た。

「え?」

びっくりするくらい低い声が出て、素で驚いた。
間違いない、勇也だ。

「なんでいるの」
「なんでって、バイト先だから」
「ああ、そう」
「久しぶり」
彼の表情が心なしかうれしそうなのは、私の見間違えだろうか。

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