もし君を一途に愛していたならば… Ⅴ
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久々に勇也と会って、でも別れはすぐ訪れた。
中2の夏、彼が転校した。
夏休み開けたら、もう既に彼はいなかった。
家に帰って、即座にLINEを開く。
一番下にある彼とのトークルームを開いた。
私)何で転校したこと教えてくれなかったの
5分くらいして、すぐに既読がついた。
勇也)めんどいから。
私)教えてほしかった。
勇也)ごめんごめん(笑)
私)まあいいけど。女子たちが悲しんでたよ~
勇也)そんなのどうでも良いわ、好きな女が悲しんでくれてたらありがたいけど。
目が眩(くら)んだような気がした。
“好きな女”って言う単語が、あいつから全く連想されなかったからだろう。
数回瞬きした後、もう1度液晶画面に目を移す。
”好きな女”という文字は、画面の上で変わらず踊っていた。
「マジか…(笑)」
自分の恋心を自覚したときに、少しの笑いがこみ上げた。
「そっか、私勇也のことが好きなんだ。」
そう自分を客観視する自分もいた。