もし君を一途に愛していたならば… Ⅸ
9
私の行きつけとなった[Café‣Grandeur]には、週4で通った。
もちろん、勇也がいたからというのもあるけどシンプルにカフェ自体を好きになった。
「あのさ、葵」
「ん?」
「今日この後暇?」
「まあまあ。」
「俺、9時で上がるから待っててもらえる?」
「あ~。良いよ、全然。」
「よかった!」
私は、9時まで待って勇也と店を出た。
「ごめんね、待たせて」
「ううん、平気」
「…変わってないね(笑)」
「そうかな、勇也も全く変わってないよ(笑)」
「そう?ありがとう」
「あ、何で私待たされたん?(笑)」
「え、えっとね、伝えたいことあってさ」
「何(笑)」
「俺、葵の事好きなんだよね。」
…ん?
ちょっと待ってください。パニックです。
今、私告白された?人生4度目の告白を受けているのですか?私は。
え、待って本当に?あ、これ嘘告?最近はやってるからなあ。
私は引っかからないよ…?
頭の中がクエスチョンマークだけになる。
パニックを起こしそうだ。いや、もう起きてる。
私は言葉が出てこない。でも勇也は淡々と続けた。
「俺ね、中学のころからって言うか幼稚園のころから好きだった。俺、葵が初めて声かけてくれた時のことまだ覚えてるよ。本当に好き。葵のことだから嘘告だとか思ってるかもしれないけど、本当に。冗談抜きで好きだよ、俺」
「うん。私も好き」
いつの間にか口から出ていた言葉。
でも、これが正直な気持ちだった。勇也が好き。ずっとずっと好きだった。
真っすぐ気持ちを向けてくれた勇也に、私もド直球で言葉を返す。
「付き合おう」
「はい、喜んで」
今思えば、このころ一番幸せだった。
ずっと想い続けてた人と両想いだったことが分かって、付き合える。
こんな贅沢なことないと思う。
まあ、その幸せをぶち壊したのは私自身だけど。