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もし君を一途に愛していたならば… Ⅷ

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春香から、久しぶりに連絡が来た。

春香)ヤッホー、今度3人で集まらない?

私は予定があるから、それだけ送った。
実際には予定なんかない。ただ、春香や麻美と会いたくないだけ。

私はスマホを開いた流れで勇也にLINEをした。

私)部屋片付きました。もう帰っても大丈夫だよ。

そのまま、彼の連絡先を削除した。

私は、大介の家に戻った。はっきり言って今の私はホームレスと同じ。
大介の家に転がり込んで、居候させてもらう。追い出されたら実家に帰るか、もしくはもう一人の幼馴染、優里(ゆり)の家に行く。
プランはとっくに私の中で出来上がっていた。
問題は、そう簡単に物事が進むかどうか。

まあ、問題が起きたらそれ臨機応変に対応するだけ。
何とかなる。

私はそう信じ、大介の家のインターホンを鳴らした。

「はあい、あ、葵か」
「ちょっと居候させてください」
「いいよ。てかもう既にそんな感じじゃん(笑)」
「荷物持ってきた!」
「オッケー、中入れて」

ひょい、と重いスーツケースを軽く持ち上げた大介。
やっぱり男の子なんだなあ、と感心していると

「見てないで手伝ってよ(笑)」
と彼は笑った。

「はあい」

大介は、使っていないパソコン部屋を私にくれた。
結構広い部屋で、本当にもらっていいのか、と聞くと大丈夫、大丈夫と気軽に答えてくれた。
本当に、大介には感謝しかない。

私は部屋を見回していると、私のものを整理してくれている大介が声をあげた。

「おい、なにこれ」

「ん?」

大介が持っていたのは、写真だった。

「ああ。それお気に入りのやつ。持ってきちゃった、なんか捨てられなくて」
「はあ、未練あんのかよ」
「だって勢いで言っちゃったところもあるし」
「ホントそう言うところよくない」
「わかってるよ、そんなこと!」

あ、また悪い癖が出た。
私は何かと短気だ。イライラしやすい。
そんな自分が、大嫌いだ。

「ごめんな、言いすぎたわ」
「ううん、私も悪かった。」

私の目には、うっすら涙が浮かんでいた。

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