増えすぎたツルハシ #3
3話になります。
1話と2話をお読みでない方はそちらからお読みください。
増えすぎたツルハシ #3
村長は、頭を下げた。
「遠路はるばるお越しくださいましたが、
この村でこれ以上、村人を増やすことは出来ません」
貧しい村の村長
「なぜですか?皆を助けてください。お願いします」
村長はそれ以上、語る事は無く、その場を去った。
貧しい村の村長は、村の外で待つ貧しい村の村人の所へ
肩を落としながら、とぼとぼと戻る。
貧し村の村人
「村長。承諾はもらえましたか?」
村人は、期待を膨らませながら、希望に満ちた声で聞きます。
貧しい村の村長
「ダメだった。理由も教えてくれなかった」
その言葉に、一同は愕然とした。
カンッカンッカンッ
カンッカンッカンッ
聞こえるのは、ツルハシの音だけ。
日が落ち、辺りはだんだんと暗くなっていく。
ツルハシの村から少し離れた森の中。
野宿の準備をする貧しい村の村人たち。
焚火を囲いながら村人のひとりが口を開いた。
「あの村は、土地も肥え、鉱山からは鉱石もとれるし、
何より村人たちが、空腹もなく幸せそうに暮らしていた。
なんて羨ましいんだ」
「本当ね。どうして私たちを入れてくれないんだろう」
悲観の声は、新たな悲観の声を出す。
そんな中、
「ママ、おなかすいたよ」
つづく
お花の騎士