アートは哲学 その③
ミニチュアアートの作品作りに欠かせないコトがある。
たとえコッペパンのような小さなミニチュアパーツ1ケでも私が手掛けるモノ全てにストーリー性を持たせることだ。
かじった跡とか家庭用オーブンで作ったので焦げにムラがあるとか・・・
私はラフ画も設計図も描かずに制作に取り掛かる。
頭の中に情景を思い浮かべて、それを形にしていく。
ストーリーを描く時に作品の中を活き活きと動く”何か”が必要だ。
リアル過ぎずリアルから遠からずという作品作りの拘りから
人の形をしたものは入れたくなかった。
そこで誕生したのが「犬田わん作」というミニチュアドックのオリジナルキャラクターだった。
ここで気を付けたいコトがある。
作品に動きをつけるための存在が作品の主軸になってはいけないってこと。
わん作中心で他のミニチュアが小道具になるようであれば制作の趣旨が違ってくる。
ボディは全身白色
顔のパーツは極力シンプルに
愛嬌のあるビジュアル
こうして物語のキーマンとなるモブキャラを何とか作り上げた。
作品の差し色的存在でありながら目立ち過ぎず
犬田わん作はとても良い仕事をしてくれた。
少し前に人形作家さんからコラボ展示会のお話を頂いたことがある。
しかし連名での展示会というのはお断りさせて頂き
人形を彩るミニチュアパーツの提供という形でご協力させて頂いた。
人は目鼻口があるモノを注目して見てしまう。
そこにインパクトのあるミニチュアアートが入り込むと
理屈抜きで感性のぶつかり合いを引き起こしてしまう。
双方の作家の魅力を満遍なく引き出す設営は相当な技術を要するのだ。
だから
犬田わん作は私の作品の中だけで活き活きと存在している。
物語のキーマンとなるモブキャラ
ここの所
そういう存在が羨ましく思えるコトもある。
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