久しぶりに京都市内へ。1

ブルーボトルコーヒートラックが期間限定で建仁寺の塔頭・西来院に出店しているというので行ってきた話。

ど平日の午前中に行ったのだが、紅葉シーズンということもあり、相変わらず人は多く、その流れに乗って八坂神社方面へ。急に冷え込んだこともあり、厚着をしてきたのだが少し汗ばむぐらいの上天気だ。
だらだら歩いて行くと、四条大橋のたもとにある私のお気に入りの建築物の一つ、東華菜館が見えてくる。美しい彫刻が目を引く美しい建物だが、工事の人が足場を組んでいる。修理かな?
日本最古のエレベーターがあるらしい。いつか行ってみたい。

花見小路を曲がってそのまま建仁寺の北門をくぐり敷地内へ。
西来院とある方へ行くとすぐに青いボトルの看板が見つかった。建仁寺には何回か来たことがあり、双龍図と牡丹を見た覚えがある。だが、こちらの西来院は初めてかもしれない。

10時の開店と同時ぐらいに到着したのにも関わらず、すでに10人ぐらいお客さんがいる。人気の高さに感心しつつ列に並ぶ。限定もののとしては、キーチェーン、祇園辻利とコラボした抹茶ラテがあるらしい。
ブルーボトルの羊羹も売っている。こちらは以前にも購入したことがあり、毛色の変わったシュトーレン味が美味すぎて何回かリピート買いするほどだ。

庭園をぼんやり眺めていると、いつの間にか自分の番になった。
今朝、家でカップラーメンプロを、その後ローソンに寄り、なぜかチョコバナナクレープを買って食べたので微妙に満腹だ。持ち帰る前提でシュトーレン味の羊羹と、最近気に入っているブルーボトルのノラ(インスタント)、そして抹茶ラテを注文。

「ここで飲まれますか?お寺の中でも飲めますよ」

な、なんだってー??!!お寺の中で飲食できるの?!
抹茶や精進料理を食べたことはあるが、こういうカフェっぽいのが寺院の中で飲めるのは初耳だ。拝観料は必要だが、100円引きでお庭を眺めながらほっこりできるらしい。もちろん中で飲むに決まっている。

抹茶ラテを受け取り、粗相があってはいけないのでしっかりフタもしてもらい、いざ建物の中へ。受付の人も親切で、こちらにある白龍図の説明をしてくれた。先ほど見た庭園に面している、小さなテーブルのあるエリアと、奥の広い庭に面した縁側のエリアがあり、どちらも異なった趣があるが、奥の広々とした方へ。円座が並べられてあるのでその上に腰を下ろし、苔がキラキラと輝いている枯山水を眺める。カラスやヒヨドリがバサバサと木々を揺らして実か何かをついばんでいる。その忙しなさに対し、苔たちは静かに雨粒を陽光に乾かしている。現在、この縁側には私一人だ。なんだこの特別感。独り占めじゃないか。京都だぞ?
抹茶ラテをすすりながら水が流れていないのに水を感じさせる川を目で辿り、ぽかぽかとした日差しを浴びる。誰かの話す声、ヒヨドリの甲高い鳴き声、それらが空間を邪魔することなく、全て溶けあい調和している。

京都市内でこんなことを思うことはあまりない。いくら穴場でもタイミングがずれればごった返す。だからこの瞬間はとても貴重だ。教えてくれたブルーボトルのスタッフさんや、この機会にめぐり合わせてくれた何かに感謝しつつ、ラテを飲み干し、改めてご本尊にご挨拶。鎌倉時代に南宋からはるばる渡来した蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)というお坊さんらしい。それから、中国人アーティストの陳漫(チェンマン)さんが描いた白龍図を見学。乳白色というか、透き通るような色彩で迫力もあるのだけど、穏やかな印象の龍だと思った。

あれこれ堪能して外に出ると、カフェトラックのお客も落ち着き、スタッフの人が声を掛けてくれたのでお礼を伝え、再びぶらぶらと四条通へ。
なんだか不思議な時間だった。期間内に機会があれば再訪してみたいと思う。







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