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日々の生活を、日常を丁寧に生きたい

日々の生活が苦手だった。高校を卒業してから一人暮らしを始めたけど、家事全般を疎かにしていた。

大学生活は充実していた。勉強も程々に頑張っては、部活やバイトに勤しんだし、友達といろんな場所へ行った。旅行にハマったのもその頃だった。

とにかく時間が足りない。やりたいことが次から次へと溢れていて、気持ちは外に集中していた。

いつのまにか家のことが疎かになっていく。時間をお金で買うようになり、自炊をしなくなった。最初こそ活躍した一人暮らしのレシピ本が、棚の奥に寂しく置かれていた。

洗濯は好きだったけど、掃除も苦手だった。わたしは当時、片付けられない女子で、日々コツコツと整理整頓をすることもできなかった。誰かが遊びに来る前に必死で掃除をしてなんとか凌いでいた。

みんなができて当たり前のことなのに、その時間を他の楽しいことに割きたかった。

社会人になってからは、とにかく忙しすぎて、家に帰ると泥のように眠るだけの日々。土日はストレス発散に遊びたい。家事に対する苦手意識はずっと消えなかった。


たぶん日常を生きるのが嫌だったのだ。毎日変わりなく、しなければならないこと。つらい日常から少しでも遠い世界へ行きたかった。だからわたしは非日常に逃げた。

もちろん非日常は悪いことではない。でも、非日常は日常をしっかり生きるからこそ、より楽しめるのだと思う。


この意識が変わったのは、海外生活を始めてからだ。

日本のようにすぐ側にコンビニがある訳ではない。外食するにはお金がかかる。はじめて料理と向き合い、その面白さを知った。

シェアハウスに住むと、共同スペースがある。みんなが使う所は自分の迷惑で汚くしたくない。そんな意識が働き、こまめに掃除をするようになった。片付けられない女から脱却できた。

海外という非日常の空間で、日常と向き合うとは変な話だ。少しずつ日々の生活への苦手意識がなくなっていく。


そして、一番のキッカケはゲストハウスだった。長期で泊まっている時に、スタッフさんと話をして知った。

ゲストハウスの仕事は、日々の生活の延長線上だと言う。ゲストが心地よく過ごせるように、掃除を丁寧にして洗濯をする。日々生活するためにご飯を作る。

私たち旅人が非日常の空間を楽しめるように、彼らは日常を極めているのだ。誰もができるけど、とても贅沢で素敵な仕事だと思った。いつか経験したいと思った。


今はただただ、日常を丁寧に生きたい。日々の生活で誰もがする掃除や洗濯、料理をしっかりとしたい。毎日を慈しみ楽しみながら過ごしたい。日常をしっかり生きるからこそ、非日常がかけがえのないものになると思うから。

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