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商業高校からの大学進学はなぜ「有利」なのか

商業高校からの大学進学は、はっきり言って「有利」です。
一般的に商業高校と聞くと、次のようなイメージがあると思います。

・就職のための学校で、大学進学、特に「一般入試」は不利

・簿記や情報処理、ビジネス基礎といった専門科目を重点的に学ぶ学校

商業高校のカリキュラムの構造上、専門科目の授業に重点が置かれ、その反面、英語や数学のような普通教科・科目の勉強が少なくなるという特性があります。
これが商業高校からの大学進学、特に、一般入試での大学受験を難しくしている一つの要因であると考えられます。
より具体的には、「未履修科目」の問題があります。
例えば、数学IIB、日本史B、世界史B、地理B、物理、化学、生物、地学など、大学入試で必要な科目を、そもそも履修していない場合があります。
執筆者である私も商業高校の卒業生ですが、世界史A、地理Aは履修していましたが、B科目は履修していませんでした。
これは文系受験では、致命的であり、一般入試での合格は大変厳しいものになります。
また、履修はしているものの、その内容が大学受験に対応できる水準にないという問題もあります。
執筆者の体験談として、数学ⅠAを履修していましたが、その授業で扱われる内容は、教科書のごく基本的な内容に限定され、それはセンター試験(現在では共通テスト)に対応できるものではありませんでした。
もちろん、進学に強い商業高校もあるため、全ての商業高校が私の出身校と同様ではありません。
しかし、先述したように、商業高校はそのカリキュラムの構造上、どうしても専門科目の学習に一定の時間を充てる必要があるため、進学校の生徒に比べて、普通教科・科目の遅れはあると考えるのが自然です。

では、なぜ商業高校からの大学進学は「有利」であると言えるのでしょうか?
それは、国公立大学・有名私立大学を含めて、数多くの大学で、商業科などの専門学科を対象にした(あるいは想定した)入試が実施されているからです。

・専門学科を対象にした(想定した)入試とは

専門学科を対象にした(想定した)入試とは、出願資格(受験資格)に、次のような制約のある入試です。

①商業に関する「単位」による制約

②検定試験・資格試験による制約

上記2点の制約に加えて、評定平均による制約(よくあるパターンとして、3年1学期末時点において、評定平均4.0以上など)がありますが、これは専門学科でない、一般的な推薦入試においても課される制約のため、ここには含めていません。(しかし、評定平均を高く保つことも重要です!)
こうした制約が課されることにより、普通科等の進学校の優秀な生徒との競争を回避して、国公立大学や有名私立大学に進学することができます。一般入試では、大学の難易度(偏差値)が上がるほど、進学校の生徒との競争になるため、彼らとの競争を回避できる別ルートが用意されていることに意味があるのです。

そうした別ルートこそ、専門学科を対象にした(想定した)入試であり、その入試を受験する資格があるという意味において、商業高校からの大学進学は、不利どころから、むしろ「有利」であると考えています。

①商業に関する「単位」による制約
これは、「商業に関する単位を◯単位以上取得(取得見込み)」など、簿記や情報処理などの商業に関する単位を取得していることが、出願資格に含まれているという制約です。
商業高校生にとっては、当たり前のように満たすことのできる要件ですが、普通科の生徒にとっては、ほとんどの場合、満たすことが難しい要件になります。
この制約は、商業高校生にとっては、有利な制約です。
なぜなら、商業に関する「単位」が出願要件(出願資格)に含まれることで、普通科等の進学校の優秀な生徒たちとの競争を避けることができるからです。
彼らは、普通教科・科目を重点的に勉強しているため、ほとんどの場合、この要件を満たすことができません。(そもそも、こうした入試の存在自体が、あまり知られていないと思われます)

②検定試験・資格試験による制約
これは、全商検定や日商簿記が、出願要件に含まれることによる制約です。
難関校のよくあるパターンとして、全商英検1級に加えて、全商簿記1級(あるいは日商簿記2級)or情報処理1級(ビジネス情報orプログラミング)というケースがあります。
日商簿記2 級は、普通科の生徒が自主的に勉強して取得するケースもありますが、全商検定に関しては、受験者のほとんどが商業高校生(総合学科生含む)のため、出願要件に全商検定が含まれている入試は、事実上、商業高校生の受験を想定した入試であると考えるのが自然です。
そのため、全商検定が出願資格に含まれている入試の競争相手は、同じ商業高校生であると考えられます。

当塾のYouTubeチャンネルにおいても、同趣旨の内容の動画をアップしていますので、記事の内容と併せてご覧頂ければ幸いです。

これ以外にも、「全商協会特別推薦」という制度を利用して大学進学するルートもありますが、これについては、また記事で解説します。
この制度も競争はありますが、商業高校の勉強に真剣に取り組んだ者に対するご褒美のような制度であり、その推薦枠には、有名私立大学も含まれています。

商業高校などの専門学科から大学受験を目指す人は、大学受験業界の中では、少数者に分類されるため、こうした入試があること自体、あまり知られていないと思います。
そのため、こうした情報を知っているというだけでも、一歩、合格に近づいたと言えます。大学受験における頭の良さは、難関の一般入試を正面突破する学力だけではありません。膨大な受験情報の中から、自分に有利な情報を見つけ出し、それに向けて淡々と準備を進めることもまた、一つの頭の良さであると考えます。

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【執筆者】
・商業高校卒業ながら、苦節10年、京都大学卒業。
・商業高校生専門の大学進学塾「進学塾おはぎ」代表。
・YouTube「商業受験戦略チャンネル」運営。
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