【1993字】夢を未完で捨てられた
私がとても暗い気持ちでとても暗い小説を書いていたとき、俠もまた、彼の暗いくらい宇宙の真っただ中に居た。
私はじつに七年間、俠のそばを離れたり離れなかったりしながら、その、どうしようもない方にばかり広がる宇宙の存在を感じ取ってはいたものの、どうにかしようとしなかった。どうにかすることができない問題だったし、どうにかしてあげたいとも思わなかった。
じっさい私が、取り急ぎどうにかしなければならなかったのは、自分のどうしようもない小説のほうだったからである。
去年の暮れに俠は