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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

アッシュと魔法の筆

『アッシュと魔法の筆』
ひとまずエンディングまでクリアしたため、感想を書き散らそうと思います。正確さよりパッション重視です。
当然のごとくネタバレ注意

おもろかった。

正直ナメてた。日本人ウケしなさそうなビジュアル、ビカビカした色彩。なんとなく敬遠してました。
暇ができたな〜なんかソロゲーないかな〜で始めるにはちょっぴり惜しかったと感じる作品。

主人公はお絵描きが好きな男の子アッシュ。
物語の序盤でいじめっ子軍団に大事なスケッチブックをバラバラにされてしまいます。
不自然な風に飛ばされるページを追いかけ、灯台へと迷い込むアッシュ。そこでページに描かれていたはずのキャラクター、「かいぶつ」が具現化して、アッシュを魔法の筆へと導きます。
魔法の筆で描いたかいぶつたちは、あらゆる手段でアッシュを助けてくれるいい子たち。
残りのページを集めながら、今は寂れて人のいなくなってしまった港町をきれいに飾り付けて、在りし日の姿を取り戻そうと試みます。

てな感じのイントロが流れ…
海沿いの栄えた港町だったそうなのですが、寂れた原因はタンカー事故による水質汚染からの漁業関係者の失業…らしい。町を捨てざるを得なかったそうで。いや重いわ
その水質汚染を魔法の力をつかって浄化するのが目的らしい。まじかよ

ここまで斜に構えてました。

探検して取り戻すページには、壁に描けるイラストの他に、かいぶつたちに描き加えられるパーツが存在します。
パーツを組み合わせて、冒険を助けてくれるかいぶつたちをデザインするのですが

まぁかわいい

どんだけ適当にデザインしてもかわいい。
めっちゃかわいい。超愛着わく。
そんなかわい子ちゃんたちが「りんごかいて!」「ボールで遊んで!」「はっぱかいて」と、身振り手振りで要求してきて、叶えれば懐っこく喜ぶ…そら好きになるやろ

いじめっ子軍団から逃れつつ、ページを集めつつの、町をきれいにペイントして浄化。
ちょっとしたアクション要素はあるものの、難易度は低め。
かいぶつたちのリクエストに応えてペイントすればトロフィー的アイテムが手に入ったり、収集欲も満たせます。
パズル要素もありますが、比較的簡単かなーと。
アクションゲームが苦手な方もチャレンジしやすいし、モーションセンサーを使って身体を動かしながら遊ぶのは小さめなお子さんにも良しかな〜と思いました。

中盤まではな

中盤からなんかやばい。
いじめっ子軍団の陰湿さも上がるし、魔法の筆の効果でいじめっ子ひとりひとりの過去が垣間見えるんですが、暗い。ひたすら暗い。
親が不仲な子、親が離婚した子、親が罪をおかし収監され、ひとりぼっちだった子。明確に描かれているわけじゃないんですが、タンカー事故からの諸々で人生を狂わされたであろう大人たちの影響を受けた、愛情を受けられず歪んでしまった子供たちであることがわかります。
アッシュ君はそんないじめっ子たちに「かわいそうかも…」「自分はまだマシだったのかも…」と同情の気持ちを抱きます。陰湿ないじめ受けてる最中によ?
アッシュ君も両親が共働きで夜遅くまで帰ってこない、鍵っ子のような状況であると冒頭のムービーで解るのですが、お弁当に同封された母親からの書き置きは愛情に溢れた内容であり、物語中に時折つぶやく両親との思い出は幸せなものばかりでした。
いや、優しい子なんよ…(唇を噛みしめるおっさん)

終盤に入り、いじめは苛烈さを増していきます。魔法の筆を折り、壁一面に描かれたイラストを汚染された水(のように解釈してます)で塗りつぶすなど、こんなん許せんやろレベルの妨害をしてきます。
ついにはいじめっ子軍団のリーダーの子が一線を超えてしまい、アッシュ君を蹴飛ばしてしまいます。これには他のいじめっ子もうろたえ、やりすぎだと口論に。
そのとき、異変が起こりました。汚染されてしまった壁画にいた「かいぶつ」がどす黒い闇を纏って壁から抜け出し、「カイブツ」としていじめっ子たちを襲いはじめたのです。

因果は応報するんですね…とか思いながらプレイヤーのおっさんは呆然としていました。

折れた絵筆

折られてしまった絵筆を握りしめ、一番はじめに出会った特別なかいぶつ、「ルナ」に向かって、アッシュ君はどうすればいいの、と問います。
ルナが絵筆を手に取ると、まばゆい光を放ち、絵筆を再生させて行きます。
絵筆が完全に直ったと同時に、ルナは色を失い、ついには消滅してしまいます。
ルナは自分の命をつかって絵筆を直したのだ、とアッシュ君は悲しみます。

おっさんはちょっと泣きました。

歳を取るとこういうの耐えられない。ほんとむり。
ルナちゃんは、アッシュ君が生み出したキャラクターです。アッシュ君の子供ですよ。
かいぶつたちはアッシュ君とプレイヤーのセンスを組み合わせた子供みたいなもんなんです。それが化け物になってしまった。
私は序盤でかいぶつたちがアッシュ君と遊びたがるのを見たあたりから、かなり強火の感情移入をかましていました。
情緒がぐちゃぐちゃです。
ちょっぴり放置したあと、ぐちゃぐちゃのままストーリーをすすめるとなんか…戦闘がはじまりました。

なんか戦闘がはじまりました!??!??

戦闘あるってきいてないんですけど!!??!!??

当たり前です調べてないんだから。
戦闘のシステムがわりと難しい。やることが多めでゲーム初心者さんにはちょっぴり厳しめかも…と感じましたが、どうやら優しいモードに切り替えられるようです。よかったですね。
私はそのままのモードでクリアまで走りましたが、そこそこのゲーマーなら詰まることはないでしょう、といった感じ。
そこからは闇に飲まれたバケモノたちに拐われたいじめっ子たちを助けつつ、バケモノたちを浄化していく…という流れです。
察しの良い方はすぐわかると思うのですが最終的にはアッシュ君、いじめっ子たちと和解します。
ここからは助けたいじめっ子たちと共闘してバケモノを解放する胸熱展開…なのですが、個人的には(よう許せたな…)とならざるを得ません。
アッシュ君の善良さを感じますね。

なんやかんやあって。

いじめっ子たちを救い出した後、アッシュ君は離れ小島にある灯台にラスボスカイブツを倒しに行くことになります。
いじめっ子のひとりが叫びます。「もうやめよう、灯台くらいくれてやって放っておこう!」
アッシュ君は「あれが残っていると、この町が汚染されたままになってしまう。僕は倒しに行く!」と、尻込みするいじめっ子たちを残し、ひとりで灯台へと向かうのです。
アッシュ君の勇気に胸がぎゅ、と掴まれる思いでした。
あとから調べて、このゲームのテーマが

“描く楽しさ”と“勇気”

であると知りました。
ああ、コンセプトどおりのゲームだ。と納得することになりました。

アッシュ君が灯台に向かおうとすると、町と灯台をつなぐロープウェイのゴンドラが闇に飲まれて動かなくなっていました。
アッシュ君が困り果てていると、海から声が。出どころを覗き込むと、なんといじめっ子たちがボートに乗ってアッシュ君を迎えに来てくれたのです。
じつは最後のいじめっ子を助けるバトルで、カイブツの親玉に攫われそうになったアッシュ君をいじめっ子たちが力を合わせて助けてくれる演出があり、そこで私のいじめっ子たちへの隔意がかなり解消されていました。
ここでいじめっ子たちへの気持ちが、かわいそうな敵から仲間へと変わります。

灯台の足元につくと、壁画を描く(浄化する)必要がある場所をいじめっ子たちが教えてくれるようになるのですが、描いていると褒めてくれたり、感心してくれるのです。
プレイヤーのおっさんは素直になった子供に弱いので泣きそうになりました。
アッシュ君は、さんざんいじめられてきたにもかかわらず、いじめっ子たちのことを「友達」と呼びました。
いじめっ子たちは、アッシュ君の強さを認め、それを受けて心から謝罪しました。

この感想を書き散らす今も涙が出そうです。このおっさんはこういう演出に弱いかいぶつなので…

いじめっ子たちと共闘しラスボスを倒すと、光の一つから消えてしまったはずのルナちゃんがよみがえります。
アッシュ君はルナちゃんと抱きしめ合うと、いじめっ子たちに紹介します。
友達と友達を引き合わせるように。
その後、ルナちゃんと力を合わせた闇の浄化が始まります。ルナちゃんを護るように絵筆をふるうアッシュ君を見て胸が熱くならないわけがない。
必死で描いてレイアウトぐちゃぐちゃな壁画を見て若干冷静になりましたが、ルナちゃんと浄化されたラスボスくんが仲良くしとるの見たらまた目頭がぎゅっとなりました。無理です。

エンディング

戦闘後、ボートで町へと向かう場面になり、いじめっ子の男の子はアッシュ君をバスケのメンツに数えました。女の子はそれより絵が描きたいんじゃないか?と言います。
いじめっ子リーダーの男の子が、アッシュ君は自分たちが嫌いかも知れないけれど、一緒にバスケしよう…と誘うと、アッシュ君はバスケも絵も「どっちもやろう」と応え、彼らは心から友達になりました。
おっさんは泣きました。
エンディングで戻ってきた大人たちにアッシュ君たちが町を披露したり、みんなで浄化された町を巡って遊ぶイラストが流れたとき、おっさんはnoteにログインして、泣きながら文章を打ち始めました。

物忘れがひどくなってきたからこそ、感動を書き残したいな、と思って。

シンプルなハッピーエンド、王道な感動モノではあります。
プレイ時間は2日ほどでしたので、だいたい15時間足らずでエンディングまで走破できるかと。こだわったり、寄り道しなければもっとはやくクリアできる軽めのボリュームです。
しかし、アッシュと魔法の筆の楽しさはそこではないでしょう。
このゲームの真価はコンセプトにある“描く楽しさ”にあると確信します。
カメラワークと筆の操作にわずかに難を感じましたが、独特かつ美しい色彩のアッシュ君のイラストは魅力的で、それを自由に配置できる楽しみは、プレイヤーをお絵描きの楽しさへと引きずり込めるだろうなと。

なによりうごいてるかいぶつちゃんはかわいいからかわいいんです。これからかいぶつちゃんたちといちゃいちゃしてきます。

このゲームの真の敵はコントラスト、明暗の差と彩度が高く綺麗すぎておっさんは眼精疲労で死ぬとこや。

以上。


Oha Ryuki


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OhaRyuki
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