自社のデータドリブン経営の状況
今回は企業ののデータドリブン経営について自社の例をお話します。
一点目はトップダウン的に私が所属するグループ企業全体の経営ダッシュボードの開発について学んだこと、二点目はボトムアップ的に自部門のデータを活用するということについて書いていきたいと思います。
グループ企業全体のデータドリブン経営を推進する経営ダッシュボード
私が勤めるグループ企業では自社をゼロ番目のクライアントと位置付け「クライアントゼロ」として社内のDXを進めています。
その一つに基幹業務のDXとして、データドリブン経営の取り組みがあります。
私自身も早くからデータドリブン経営のプロジェクトに参加し、BIを活用したダッシュボード開発に携わってきました。
現在は経営層向け、管理職向け、全社員、またグループ全体で参照できるような様々な領域のダッシュボードが用意されています。そこに至るまでは一足飛びではなく、多くの壁が発覚し乗り越える必要がありました。
このプロジェクトでの私のミッションは経営ダッシュボードの開発が主な担当です。ダッシュボードの開発にあたっても多くの壁を乗り越える必要がありました。
経営ダッシュボードで重要なことは、公開されているデータが信頼できるものであること、Viewerが容易に理解できるデザインであること、と考えています。
実際の開発にあたって、データの信頼性については、当初はデータがちらばって一元管理されていない、コード体系が複雑、更新タイミングがばらばらという課題がありました。多くの社員が自身でデータ分析・活用を諦めたと聞いています。現在はビジネスカタログや標準情報種化され、従業員が自らデータ定義を確認できる環境が整ってきています。データが様々な業務で活用され始めました。
多くのViewerに何度も使ってもらうダッシュボードを開発するにはデザインも重要でした。Viewerが直観的に理解できること、ダッシュボードごとに誤解しない表現である必要があります。ダッシュボード開発には多くの社員やチームが携わっています。開発者毎に好き勝手にグラフのデザインを決めていては同じ指標の数字を扱うのでも表現が異なることがありました。これではViewerが違うダッシュボードを見るたびに理解に頭を悩ませ、段々使われなくなってきます。デザインガイドを作成し開発者の訴求することで誰が作っても誤解を与えないようなデザインの統一を図ってきました。開発のタスクも標準化し、品質を安定させるような工夫に取り組んできました。
現在は経営層から従業員まで同じデータを共有しデータ起点でアクションを実行するために経営コクピットが公開されています。経営層の重要会議でも、直接ダッシュボードを操作して議論が交わされるようになりました。
自部門のデータを活用と人財育成の重要性
私は自社でデータ分析やデータの利活用を志す技術者が、組織の壁を取り払い部門を超えて繋がりを作れるようなバーチャルな組織を立ち上げています。これは私一人の力ではなく、他部門のData Saberや、AI・生成AIを得意とする仲間が一緒になってデータ利活用を推進する活動です。
マーケティング部門の商談分析のテンプレートの作成や、デジタル事業領域の売上を可視化することで社内のデジタル事業の推進を図るなど、多くの組織が自部門の持っているデータを活用しています。
営業部門では社内に蓄積された商談を可視化し、予算会議で営業ダッシュボードを使用しています。このうようなダッシュボードは、営業DXとして”Forbes JAPAN NEW SALES OF THE YEAR 2024”のDX推進賞をいただいた活動の一端を担っています。
NEW SALES OF THE YEAR 2024|Forbes JAPAN(フォーブスジャパン)
自社でデータ利活用を進めるためには、人財育成も必要です。BIツールの初心者ハンズオンだけではなく、教育を受けた社員が自部門に戻って分析をできるように、自社のデータを使った教育なども充実させてきました。これは単発の教育ではなく自分たちでデータ分析したものを持ち寄り講評をしあうような7日間の教育として用意されています。
また実際に使われるダッシュボードを作り出すための方法論としてCreative Analytics Method 実践講座なども社内で開催されています。データ分析の中級者以上向けで、見える化しても活用されないことに課題感を持っている人向けの内容が実施されます。ペルソナを立てクライアントから要件を引き出し、プロトタイプダッシュボード開発、フィードバックを受けるまでの実践的な内容です。
全社の基幹システムにあるデータを共通言語として利用することと同時に、多くの組織で自分たちが持っているデータをすぐに取り出して戦術に活かすこと、トップダウンで用意された営業ダッシュボードを日々見ることも重要ですが、誰もが自分たちのデータを使ってインサイトを得ることができることは企業にとってどちらも有効なデータ利活用だと考えます。
私のバイブルを紹介します。
