読書感想_いつかの人質

『いつかの人質』芦沢央

幼い頃に誘拐された宮下愛子。その時、事故で失明。それから12年後、再び愛子は誘拐された。犯人の動機に唖然…。

こんな迷惑な動機ってあり?愛子の心に、トラウマが残ってしまうことや恐怖を考えなかったのか?


宮下愛子は幼いころ、ショッピングモールで母親が目を離したわずかなすきに連れ去られる。それは偶発的に起きた事件だったが、両親の元に戻ってきた愛子は失明していた。12年後、彼女は再び何者かによって誘拐される。一体誰が? 何の目的で? 一方、人気漫画家の江間礼遠は突然失踪した妻、優奈の行方を必死に探していた。優奈は12年前に起きた事件の加害者の娘だった。長い歳月を経て再び起きた、「被害者」と「加害者」の事件。偶然か、それとも二度目の誘拐に優奈は関わっているのか。【「BOOK」データベースより】

・ミステリー
・誰も死なない物語り
・エログロ表現なし


・345ページ
・4時間ほどで読了。(私は読むのが遅いほうです)


宮下愛子
4歳から5歳の時、ショッピングモールでいなくなる。無事に帰ってくるも、事故で失明。母親の麻紀美は過保護になり、父の陽介は、娘の誘拐事件や失明に向き合えないでいる。

尾崎優奈
優奈は中学生の時、迷子の愛子を連れ帰ってしまう。大人になった優奈は漫画家になったが、夫を残して失踪する。

江間久遠(れおん)
優奈の夫。興信所に失踪した優奈を探す依頼をする。彼の父は有名な漫画家。久遠自身も漫画家となる。


私の感想は…イマイチでした。好きな作家さんなので、期待を高く持ちすぎたせいもありました。イマイチだったのは、終わり方をもう少しハッキリしてほしかった様に思います。これは好みの問題で、あえて余韻を残して読者に想像させる意味もあるのですが、私は愛子と優奈のその後はどうなったのか気になっています。

おもしろいのは当事者、久遠の母親、元同僚の目線では、「自分に酔ってる」、「夫婦仲が良くない」、「ホストに通い詰める」など全然印象がちがうところ。その情報で、久遠や優奈の印象がどんどん変わってきます。

誘拐犯の身勝手な動機で、愛子は怖い思いをします。だけど、その経験のおかげで「伝えなければ分からない」ことを知る。人はみんないい人とは限らない。備えなければならないと、愛子の成長を感じました。過保護になる母親と、世間体を気にする父親も彼女のように強くなってほしい。この家族が、本当の意味で前に進めることを望みたい。

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