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【アメリカ・ユタ州の旅①】〜ザイオン国立公園は岩と水、お花とお尻のワンダーランド

南カリフォルニアからネバダ州、アリゾナ州を忙しなく北上すること、430マイル(690キロ)。ユタ州南部に広がる美しい大自然を目指し、一日がかりで車を走らせました。

大地を切り裂く赤茶色の巨大な岩に、瑞々しく緑が茂る。ザイオン国立公園は、初夏がベストシーズンだと言われています。

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一番の見どころは、長さ15マイル(24キロ)のザイオン渓谷。バージン川がとてつもなく長い時間をかけて砂岩を削りに削り、こんなに壮大な渓谷を作ったというから・・・驚きしかありません。

初級者から上級者まで、いくつものトレイルが楽しめるのも魅力!4歳&2歳のキッズがいる私たち家族も、2本のトレイルを楽しんできました。


1)リバーサイドウォーク。

バージン川の始まりを目指す沢登り「ナロウズ」は、ザイオンらしさ満点の人気トレイル!じゃばじゃばと川を泳いで渡る箇所があるので、最後まで完歩したい人は、防水靴に防水ズボン、杖など、沢登り専用のガジェットをレンタルして挑む必要があります。

我が家はチビ助たちがいるので、「無理せず行けるところまで行ってみようか」スタイル。ナロウズも途中までなら子連れでも、初心者でも、絶景を楽しみながら川沿いを気持ちよく歩けるというので、この「リバーサイドウォーク」と呼ばれるトレイルに挑戦してみました。

が!しかし!
それにしても、ぜんぜん進まないじゃないか。

「きれいな石みつけたー」

「川の水さわりたーい」

と、目の前の大自然に魅了されまくり、足止めされまくりなのです。

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※すでにお尻が汚れているのは、ご愛敬。

最初こそ「おら、いくぞ」とキッズの背中を押していた私たち夫婦ですが、すぐに「まぁ、言ってもしょうがないか」と諦めます。

ウォータープルーフのガジェットに身を包んだ大人たちは、川上目指して一直線!ガシガシと私たちを追い抜いていきますが。私たちは子供たちのペースで、行けるところまで行き、楽しめるものを楽しもう、と。

すると、いろんな発見をすることができました。

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例えば、水が染み出る岩には、黄色のキレイな花が咲いているね、とか。

例えば、川の深いところは、エメラルド色になっているね、とか。

例えば、サンドストーン(砂岩)が砕けてできた砂は、細かくてさらさらしているね、とか。

その細かい砂が湿ったおしりにつくと、なかなかとれないね、とか。

だからフルチンで走り回って、転んだらダメだよ、とか。

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片道1.1マイル(1.8キロくらい)。1時間くらいかけて終点にたどり着きました。この先は川に入っていく「ナロウズ・トレイル」が本格始動するので、私たちの冒険はここまで!

川の水はキンキンに冷えていて、足を入れた瞬間に風邪をひきそうなほど。そんな冷たい川で、2歳児が壮大にすってんころりん!彼はよく水辺で転ぶのですが。今回は、冷たいバージン川の恩恵を全身で受けていました。


2)エメラルドプール・トレイル。

瑞々しいザイオンには、山から湧き出る水がたまる「エメラルドプール」という場所が何箇所かあります。

その中でも、「初心者OK!絶壁から水が流れ落ちる様子を、裏から見ることができるよ」というトレイルに挑戦してみました(ロウワー・エメラルドプール・トレイルと呼ばれています)。

いざ歩き始めると、景色がコロコロと変わって面白い。次から次へと個性的な絶景が目に飛び込んでくる、ワクワクワンダーランドなのでした。

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道は整備されていて、キッズでも安心。

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赤茶色の岩壁や、白の岩壁、青々と茂る植物たち。自然の色は、やっぱりキレイですね。

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ゴール!

岩壁の上から水がシャワーのように落ちてくるので、この辺一帯はとってもミスティ。流れ落ちる水の裏をくぐって歩きます。下のほうには、自然のプールができていました。

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片道0.6マイル(約1キロ)のトレイルで、高低差もそこそこ。最初のトレイルの疲れも溜まっていたのでしょう。帰路を歩き始めてすぐに、2歳児が奇行に走ります。

石を拾い出したので、「持って帰っちゃだめだよ」と石を戻すと、石を拾って戻すという行動にハマり出します。それを繰り返す中で、彼の中で「特定の石を、特定の場所に置きたい!」という謎の欲望が沸きあがったのです。

赤茶色のちょっとした斜面に狙いを定めると、勢いよく駆け上り、石を置く。しかし、斜面なので石がころころ転がって戻ってきてしまいます。本人も、赤い砂埃を巻き上げながら、転がって元の位置に戻ってくる。

再び石を拾い、斜面を駆け上がり、石を置く。石が転がる。本人も転がる。元の位置へ。石拾う。斜面駆け上がる。石置く。石転がる。本人転がる。元の位置へ。石拾う・・・。

次第に、小さな息子が、ザイオンの巨大な岩山に挑んでいるようにも見えてきます。道行く人に応援してもらって、やる気はみなぎるばかり。

気が済むまでやらせたところ、赤土まみれに。通りすがりのハイカーに「今夜のお風呂が楽しみだね!Hahaha!」と笑われたところで、息子のザイオンとの闘いは終了しました。


3)ザイオン・ロッジ

トレイルとトレイルの間に寄ったのは、絶景スポットのひとつ、ザイオン・ロッジです。古いロッジがあり、レストランもあり、ちょっとした休憩スポットとなっています。

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休憩スポットだと言っているのに・・・。

緑の上を全身全霊で走り回る子供たち。

大きな木にまとわりついて遊んだり、鳥を追いかけたり、シカに近づいたり(これはパークレンジャーに注意されました)、芝生で抱き合ったり、転んだり、裸足で泥に突っ込んで行ったり。

その様子を見ていたハイカー集団に声をかけられたので、何か注意されるのかと思ったら、

「あれは君たちの子供かい?素晴らしい子育てをしているね」
(Are those your kids? Great Parenting!)

って、褒められました。

そのときは「へ?何が?」と思って、軽く笑って受け流したのですが。後になって、彼らの言いたいことが何となく理解できました。

心が躍るような美しい景色を見て、ワクワクして、そこにあるすべての自然を全身で感じて、素直に喜びを表現していた子供たち。

一方で、大人たちはどんなに感動しても、キャッキャッと飛んだり跳ねたりは・・・しませんもんね。

「子供って、感動を素直に表現するね!素敵なことだね!」そういう意味だったんじゃないかと、勝手に解釈しました。


4)終わりに

小さい子を連れて国立公園に行くのは、やっぱり大変!

荷物も多いし、行ける場所も限られるし、ケガさせてはいけないと常に気は遣うし、「抱っこ」と言われたら子供を担いでトレイルを歩くことになるので、腕も足もパンパンだし・・・。

その反面、子供たちに教えてもらえたことも、たくさんあったなぁ。

彼らがいたからこそ気づけたこと、例えば、水湧く岩壁に咲く花の色を、湿ったおしりにこびりついた砂の感触を、これからも大切に覚えていたいと思います。

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小倉 麻未
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