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トリエンナーレ・デザイン・ミュージアムに展示されたフィアットのアイコン×2種/Fiat 500 & パンダ

割引あり

写真説明)2019年1月20日までトリエンナーレ・デザイン・ミュージアムの第11版として、コンパクトな2台のフィアットが展示/公開されていたそうです。このトリエンナーレ・デザイン・ミュージアムとは2007年12月にトリエンナーレで開館したイタリア初のデザイン美術館で、毎年その順序とレイアウトを変更してきた“変化する”美術館だったりします



産業史に欠かせないイタリアン・アイコニックモデル

注目すべきは、この時の展示内容の主役が自動車デザインに於ける2つのアイコンだった事でしょう。それは1958年式フィアット・500Nと、1980年式フィアット・パンダ30というコンパクトなフィアットでした。これら2台はFCAヘリテージ(注1)の貴重なコレクションに属した車両でもあります

 イタリア初のデザイン美術館であるトリエンナーレ・デザイン・ミュージアムですが、開館から10年もの間、毎年その順序とレイアウトを変更してきた“変化する”美術館であり、その第11版では「イタリアデザインの複雑な性質を定義するために組み合わされた幅広いストーリーを通じて、イタリアデザインの物語が語られます」という取り組みで展示/公開されました。
 その際、博物館のレイアウトは2つの方向で進めらたそうです。一方では通時的な視点から見た歴史の流れを示し、もう一方では訪問者が他の分野のレンズを通してデザインを解釈できる様にする5つのテーマ別研究を展開したとの事。
 そのために“アイコン”とみなせるものを定義する必要があり、1902年から1998年の間に制作され、技術的および形式的な革新、美学、実験、独自性と世間での成功を得た重要な作品を選択したのだとか。

 なおリリースには、「テクノロジーやデザインの分野に於ける革新性によって歴史に残るクルマというものがあります。その一方で日常生活に溶け込み寄り添ったクルマは記憶されるに値します。ただ高度な技術テクニックと深い感情を組み合わせる事に成功し、記憶から消えない痕跡を残し、その時代の一種のアイコンとなる車両はほとんどありません。しかし、これが実際に起こると産業史に欠かせない傑作が生まれます。その様な稀なケースとして、イタリアの創造性が生み出したフィアット・500とフィアット・パンダが含まれているのは間違いありません。この象徴的な2つのクルマは、直ぐに国際市場の集合的な記憶に定着して永久的なものとなりました」と記されています。
 なるほど。賛否あるのかも知れませんが、イタリアに於ける国民車的な位置付けだった両車両がイタリア国内でその様に認識されていたであろう事は容易に想像出来ますし、世界には一定数のファンが存在しているという事実から世界での認識もあながち間違ったものではないと言えそうです。なによりニューヨーク近代美術館(MoMA)の常設コレクションになったのは、フィアット・500が“産業史に欠かせない傑作”である事を決定付けたと言っても過言ではないでしょう。

トリエンナーレ・デザイン・ミュージアムの一角に、とても良く馴染んだフィアット・500。現車は1958年式の500N(注2)で、「ミュージアムへの収蔵により、イタリア人の“自動車文化”に貢献したこのモデルの重要性が裏付けられると同時に、真の意味を持つモデルとなりました」とリリースには記されています。なおニューヨーク近代美術館(MoMA)には、500史上最も人気のあった1968年式の500Fが収蔵されているそうです
トリエンナーレ・デザイン・ミュージアムでは、500Nとは別に同じくらい有名なもう1台の車両として1980年式のパンダ30も展示/公開されました。1980年に登場したフィアット・パンダも、本文で触れている通りイタリアのアイコンの1つである事に異論を唱える人はいないでしょう


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