新ユニコーン「ケンタウロス」「ミノタウロス」企業とは何か?
ユニコーン企業は、設立から10年以内で、評価額が10億ドル以上でありながら未上場の企業を指します。
しかし、最近では同じ神話上の生き物である「ケンタウロス」「ミノタウロス」の名前を冠した企業分類が使われ始めています。
これらの企業はどのような特徴があるのでしょうか?
新たなスタートアップ分類「ケンタウロス企業」と「ミノタウロス企業」はどう違うのか?
まず、ケンタウロス企業とは、ユニコーンの条件を満たすと同時に、年間経常収益(ARR)が1億ドル以上の企業を指します。ARRは、企業が毎年継続的に得る収益のことで、主にSaaSやサブスクリプションサービスなどの企業で指標として活用されています。
一方、ミノタウロス企業は、資金調達額が10億ドル以上のスタートアップを指します。多額の資金調達に成功していることから、これらの企業は事業の拡大に余裕があり、安定的な成長が期待されます。そのため、投資家から非常に魅力的な存在とされています。
ユニコーン企業の分類に加えて、こうした新しい分類が登場したのはなぜなのでしょうか?
ユニコーン至上主義からの脱却。新たな分類が登場した背景は何か?
これらの新しい企業分類が登場した背後には、希少性が高かった「ユニコーン」企業の数が、過去10年間で急増したことが一因にあるでしょう。たしかに直近5年間のユニコーン企業数の推移は、次のように右肩上がりに増加しています(CB Insights調査)。
2019年: 491社
2020年: 563社
2021年: 832社
2022年: 1,080社
2023年: 1,200社以上
ただ、ユニコーン企業数の増加し、その希少性が下がったことだけが理由ではありません。むしろ注目すべきは、投資家が新たな基準を重視し始めたことです。
ユニコーン企業かどうかを判断する際、たしかに企業評価額は重要ですが、高評価なだけでその成功が保証されているわけではありません。それよりも実際の経営基盤が堅実であることの方が重要でしょう。つまり、評価額が高いだけでなく、企業自体が安定的に成長していることが求められるのです。
当然ながら、スタートアップ投資を実行するか否かは、さまざまな指標を見て判断します。その際、評価額だけでなく、優れたビジネスモデル、厚い顧客基盤、強靭な組織力など、幅広い要素が評価されます。これらの要素を組み合わせて経営状況を総合的に判断することが重要です。このような新たな評価基準が、屈強な存在である「ケンタウロス」や「ミノタウロス」という用語の誕生につながったのです。
2022年以降、スタートアップ投資において冷え込みが訪れるとの予測もあります。こうした環境の中で、安定的な収益を上げるスタートアップは今後ますます注目を浴びることでしょう。
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