私が馬券を買い始めた理由①
幼い頃父に連れられ中山競馬場に行ったことをかすかに覚えている。
今思えばその日は皐月賞で、「ナリタブライアンっていう馬が強いんだよ」と父が言っていた。
スタンドは人で溢れかえっており、とてつもなく歓声がうるさかった。
レースが終わった後、父は笑顔だったが悔しそうにも見えた。
今思えば軸は来たが相手が来なくて馬券は外れた顔だった、と同時に競馬ファンの1人として強い馬が誕生した瞬間が嬉しかった顔でもあった。
その顔を見た時なんだか嬉しくなった記憶がある。
しかし父は幾度となく競馬をしていることが母にバレて喧嘩をしていた。
だから私は本気で競馬を好きにはなれなかった。
馬券を買うことは犯罪と同じくらいやってはいけないことだと思ってもいた。
それから私はなんとなく競馬を見ていた。
時が経って、私が29歳の2020年の6月、地元の後輩から電話が来た。
「oguuさん明日の宝塚一緒に買いませんか?めっちゃ気になる馬がいまして!」
どうやら単勝、ワイドに10万賭けようと思っているけど、もっと金があったら馬単、3連単の賭けたいとのこと。
どうせ当たらないと思いそこは軽く断った。
どうせサートゥルナーリアが来るでしょうとなんとなくニュースで見たやつを伝えたが、明日の馬場ならサートゥルは飛ぶとのこと。
賭け方はクロノジェネシスの単勝に8万、クロノジェネシスとモズベッロのワイドに2万。
あっそう、頑張って、当たったら連絡ちょうだい、そう言って電話を切った。
どうせ当たらないと思ったし、これといって仲の良い後輩でもなかったから何も考えてなかった。
翌日、少し気になったせいかレースは見てみた。
クロノジェネシスがぶっちぎって1着、そしてモズベッロが3着に入っていた。
ふーんと思いながら払い戻しを計算してみたら、100万円オーバーだった。
レースが終わって10分後くらいに後輩から連絡が来た。
どうだ見たか、今度は一緒に賭けましょう的なことを言われた。
正直羨ましかった。
手取り20万ももらっていない現状にちょうど嫌気がさしていた私は一緒に賭けなかったことを後悔した。
来週からかけてみるかと思いとりあえずPatを登録した。