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詩のご紹介17 シェナの老犬(小黒恵子作) ~ユトリロの絵のなかで

こんにちは。小黒恵子童謡記念館です。
 今回の詩は、「シェナの老犬」(白い馬車に乗って)です。

「詩集:ユトリロの絵のなかで」については、下記をご覧ください。

 まずは「目から」。

シェナの老犬
~ユトリロの絵のなかで 「白い馬車に乗って」より~
小黒恵子作

人影もなく
ひっそりと 静まる
石の町並の 谷をあるく

中世の町に 迷いこんだような
個性的 幻想的な
美しい町 シェナ

カッキリと 青い空
市庁舎前の 貝殻広場
ドォウモの 大理石の
白と深みどりの 縞模様の
直線の 美しさ
シェナ派の絢爛たる 芸術作品

それ等より
わたしの心の フィルムに残ったのは
店番をしていた 灰色の老犬

ピノキオ人形を売る
素朴な屋台の 土産物店の前に
ドサリと 横になって

その犬の睾丸の
なんとふくれて 大きいこと
どんなに子孫を 沢山残したことだろう

「コンニチハ」と 声をかけた時
見上げた瞳の湖の 穏やかさ

いつの日か再び
シェナを 訪れた時
きっと 逢うことだろう
この老犬の 子孫たちに

 次は、「耳」からお聴きください。

 朗読:大森寿枝
 
 最後まで、お読みお聴きいただき、ありがとうございます。
 次回の詩は「白い馬車に乗って」です。(S)

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